想像上の服を現実に。 Google やスレッドアップがAIを駆使して検索で実現したこと
思い描いた服が着られるようになる時代がそこまで来ている。 これは、Googleとスレッドアップ(ThredUp)のエグゼクティブが自社で実装予定のAIによるサイト検索機能のアップデートについて、ショップトーク(Shoptalk)で米Glossyと対談したときに話したことだ。 Googleでコマース担当グローバル責任者を務めるマリア・レンズ氏は3月18日午前のステージディスカッションに登壇し、社内で「ドリーマー(Dreamer)」と呼ばれている新しいAI画像生成ツールに大きなチャンスを見いだしていると語った。このツールは買い物客の想像力次第で、アパレルや家庭用品などのカテゴリーにおけるショッピング方法を一変させる可能性を秘めているという。
自分の想像したアイテムが見つかるGoogleの「ドリーマー」
ドリーマーは現在も利用可能だが、年内にはさらに利用しやすくなる予定だ。このツールでは、それを見たりその存在を知ったりしている必要なく、自分が欲しいと思ったアイテムを検索することができる。 たとえば「明るい色のクロップド丈、キルト地の春物ジャケット」と入力すれば、AIがその説明に基づいて3つの異なる画像を生成する。そしてそのAI画像とよく似た見た目の、実際に購入可能な商品がその下に表示される。 また、ドリーマーツールは購入した1着の服をもとにコーディネートを考えるときに特に役立つとレンズ氏は指摘した。つまり、どのようにコーディネートを完成させられるか想像したものの、実行するための時間的余裕が確保できないときだ。 このように大規模な言語モデルは、あくまで買い物客が対話することを望まなければ役に立たないため、買い物客は自分自身でショッピング体験を形成することになる。詳細な情報を提供すればするほど、自身の思い描くファッションがより正確に視覚化される。
コーディネート提案のための生成AIツール開発に取り組むスレッドアップ
同様にスレッドアップの共同創設者兼CEOを務めるジェイムズ・ラインハルト氏は、買い物客のインスピレーションとアイデアに基づいたコーディネート作りのサポートをめざしていると語った。 「我々はコーディネート作りに使用できるような生成AIツールの開発に取り組んでいる」と同氏は話す。たとえば、「ラスベガスの会合で着るような服装」と検索すれば、スレッドアップのAIがそれにふさわしい服の画像を生成する。同時に、それらの服と類似したスレッドアップの商品も提示される。 買い物客は、検索条件を絞り込むことで、より希望に近い、実際に買える商品を見つけることができる。たとえば、最初の検索結果があまりにも地味すぎるなら、検索を「ラスベガスの会合で着るような、ポップな色の服装」のように更新できる。 またこのツールを使用して「グレーのピンストライプスーツにトレンドの靴とモダンなバッグ」のように検索することで、すでに持っているアイテムによるコーディネート作りのヒントを得ることもできる。 スレッドアップは3月上旬の時点ですでに、視覚言語を含むよう検索機能をアップデートしている。「以前の検索よりも100倍良くなった」とラインハルト氏は話す。たとえば「聖パトリックの祝日(St. Patrick’s Day)」と検索すると、今までは検索結果に何も表示されなかったが、現在ではレプレコン、シャムロック、グリーンの色合いなどのアイテムを含む「数千もの」検索結果が表示される。 同様に「グウィネス・パルトローのスタイル(Gwyneth Paltrow style)」や「ドーラといっしょに大冒険(Dora the Explorer)」などのような検索でも、その条件に合った結果がヒットするようになった。ラインハルト氏によると、スレッドアップはこの新機能を使って非常にタイムリーなトレンドのキュレーションを構築し、買い物客への「サービス」としてホームページに掲載しているという。 「これにより数カ月前と比べて、トレンドを求めている買い物客にとって我々ははるかに有用な存在になった」とラインハルト氏は語り、「実際のところ、AIはまだ過小評価されていると思う。多くのビジネスにとってAIは重大な意味を持つ。特に当社には数百万点もの独自の商品があるからだ」と付け加えた。