サムいジョークにも優しいAI「GPT-4o」との間になお残る微妙な距離感
辛酸なめ子のじわじわ時事ワード【GPT-4o】
AI開発をリードするOpenAI社が最新の対話型生成AIサービス「GPT‐4o」を発表。「o」は「omni(全方位)」を表していて、文章だけでなく音声や映像などあらゆる情報を処理できるモデルです。処理速度もアップして、対話も人間の返答速度に近くなったとか。「X」上で「GPT‐4o」で検索すると、さっそく意識の高い人が「スプレッドシートをグラフに変換できる」「3Dデータを作成した」「株式市場を分析した」と、ハイレベルな活用法を披露しています。すごいAIが誕生しても人間もプロンプト(指示する文章)を学習しないと使いこなせない、という現実が……。 【イラスト】大谷選手の妻・真美子さんが持つバッグの抜群の宣伝効果はエルメス「バーキン」並み? ところで「GPT‐4o」の大きな特徴といえば、感情表現が豊かになったということ。音声のやりとりでは、相手がAIということを忘れそうです。 音声には男女のバージョンがあり、女性の声は、AIと人間の男性の恋愛を描いたSF映画「her 世界でひとつの彼女」の、AI役の声に似ていると話題です。ハスキーで知的な大人の女性の声は、スカーレット・ヨハンソンが演じていました。 OpenAI社のサム・アルトマンCEOも発表会と同じ頃、「her」とポスト。しかし、その後ヨハンソン氏の申し立てによって音声は使用停止に。幻の声となりました。 発表会の動画やOpenAI社のサイトでは、AIとの会話のデモが公開されています。面接のアドバイスや緊張感を解く呼吸法などの相談役にもなってくれるようです。 OpenAI社の面接に行くという男性に「OpenAI? なんとなく聞き覚えがある……フフッ冗談。すごいわね!」とフランクに答える女性AI。帽子をかぶってみせる男性に「それは面接では期待されている状況ではないわね」と、やんわりと制止していました。また、「もっとエモーショナルに!」「歌ってみて」というリクエストにも臨機応変に対応。オーバーな話し方に若干引き気味に笑う人々……。 一方で人間のジョークにも反応してくれます。「巨大な子猫の山を何と呼ぶでしょう……ニャウンテン」と男性が言うと、1秒ほどの間の後「フフフフッハハハ! とても面白いです」と男性AIがリアクション。人間もAIもまだ探り合いというか、気を使っているようです。本音でぶつかり合ったら、お互い新たな次元にアップグレードできるでしょうか。
AIミスワールド
世界初の、生成AIによって生まれた美女たちが競い合う「ミスAIアワード」が開催。優勝賞金は5000ドルで、「美しさ」「テクノロジー」「社会的影響力」などが審査のポイントです。 完璧なAI美女が「GPT‐4o」と合体したら最強です。ただ、ルッキズムやジェンダーの問題が取り沙汰されているこのご時勢、あえてミスコンとは、技術は最先端でも価値観的には逆行しているようにも思えます。ファイナリストはセクシーな美女が多いです。せっかくなら、ミスターAIコンテストや、様々な世代のAIの魅力を感じたいです。