世界最大の原発、柏崎刈羽再稼働で軋轢-エネルギー問題緩和期待も
しかし、休止中の原子炉を再稼働させることは政治的にも難しい。
エネルギー基本計画
柏崎刈羽の2基の原子炉は17年に国の原子力規制委員会から運転再開の認可を得たものの、地方自治体の認可が得られていないため同社は運転再開の時期を定めていない。柏崎刈羽の本拠地である新潟県議会定例会は来月開かれる予定で、そこで再稼働を支持するかどうかが議論される可能性が高い。
柏崎刈羽の今後を巡り膠着(こうちゃく)状態となっている中、政府はエネルギー基本計画の見直しに着手した。このプロセスはおおむね3年ごとに行われ、経営者や学者、政治家、業界団体などで構成される委員会では原子力による発電割合の目標などについて議論する。日本がクリーンエネルギー促進のために十分なことをしていないという不満についても判断材料となるとみられる。
日本にとって新しい電力供給源が必要ということに議論の余地はほとんどない。ロシアによるウクライナ侵攻や中東での紛争は、発電量の70%を占める化石燃料に頼ることのリスクを浮き彫りにした。そうした中で、全国で21基の原子炉が未使用のまま放置されている。
東電HDの小早川智明社長は4月の記者会見で1日でも早い再稼働が望ましいとした上で、「本質的には海外の輸入に頼らない、一定の割合をつくることが重要と考えている」と述べた。
日本では東日本大震災以来12基の原子炉が再稼働しているが、東電HDの管理下にある柏崎刈羽の再稼働には特に象徴的な意味合いが強い。
元日の地震
東電HDは安全上の懸念に適切に対処してきたと主張する。同社のウェブサイトには、柏崎刈羽で取り組んでいる対策が掲載されている。その中には、高さ15メートルの防潮堤や洪水防止壁の設置、緊急時に原子炉を冷却するための施設の建設などが含まれる。
だが、能登半島地震により、地元住民らは原発のリスクを再確認したという。
新潟県議の土田竜吾氏はインタビューで、元日に起きた地震により「まさに複合災害の時の避難が目に見えた」と述べた。土田氏は地震が多い日本では原子力利用はやめるべきと話す。地震で家屋が倒壊した場合、住民が放射能の影響から逃れるために身を隠せる場所がないかもしれないという点を懸念しているという。