【社説】米大統領選を前に緊張高める北朝鮮、「偶発的衝突」の余地なくすべき
北朝鮮が秋夕(チュソク、陰暦8月15日の節句)連休最終日の18日、またも短距離弾道ミサイルを打ち上げた。北朝鮮は連休前の12日に600ミリの超大型放射砲を複数発発射したのに続き、13日には、今も北朝鮮の核問題が解決されないことの主要原因となっている高濃縮ウラン(HEU)生産基地の様子まで公開した。残り2カ月を切った米大統領選挙(11月5日)を前に、朝鮮半島をめぐる不確実性がまたも高まっている。韓国政府は南北の「偶発的衝突」を防ぐために、北朝鮮が「ごみ風船」を飛ばす原因となっている、脱北民団体による「対北朝鮮ビラ」を取り締まるとともに、北朝鮮に対する拡声器放送も直ちに中止すべきだ。 合同参謀本部はこの日、「平安南道价川(ケチョン)一帯から午前6時50分ごろ、東北方向へと発射された短距離弾道ミサイル数発をとらえ、分析中」だとし、「北朝鮮のミサイルは約400キロを飛行した。正確な諸元については韓米が精密分析中」だと発表した。 北朝鮮は7月1日の弾道ミサイル発射後、梅雨の時期に受けた被害の復旧に集中していたためか、しばらくは目を引くような軍事的行動を見せていなかった。状況が変わったのは今月12日からだ。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はその日、「新型の600ミリ放射砲車の性能を検証するための試験射撃」を視察し、13日には「兵器級核物質生産基地」を「現地指導」したと報道された。14~16日には秋夕期間であるにもかかわらずごみ風船を飛ばした。 この中で最も目を引く動きは、金委員長が核兵器の原料の生産基地を視察する写真が5枚も公開されたことだ。北朝鮮のウラン濃縮問題は、第1次北朝鮮核危機を封印した2002年10月の「ジュネーブ合意」を解体し、大きな期待を集めた2019年2月末の2回目の朝米首脳会談を決裂に至らしめた主な原因だった。このような戦略施設の写真を公開したのだから、北朝鮮の立場からすると相当な苦心の末に下した決定であることは間違いない。それを示すように金委員長は「ここは見るだけで力がわく」、「自衛の核兵器を幾何級数的に増やさなければならない」と述べている。 北朝鮮は今後も米国に対して、自分たちの核能力を誇示する可能性が高い。その過程で朝鮮半島の安保状況が悪化するのは必然だ。現在、南北の間では「対北朝鮮ビラ」と「ごみ風船」が行き来しており、拡声器放送も続いている。互いに感情が悪化している状況で、どちらか一方が些細な誤った判断を下せば、取り返しのつかない不幸な事態へと発展する可能性が高い。政府はこのような危険性を先制的に除去しなければならない。意地を張って相手を刺激している時ではない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )