2試合に見えたアギーレジャパンの特徴は“変幻”
対戦相手や戦況に応じたフレキシブルな戦い方とメンバー構成――。それこそが、この2試合で見えたアギーレ監督率いる新生日本代表の最も大きな特徴だ。それは、どんな相手に対しても、ショートパスを繋ぎながら主導権を握ろうと、真正面からぶつかっていった前体制との最大の違いでもある。 ウルグアイ戦で森重をアンカーで起用したことやプレーメーカー不在のメンバー構成で戦ったことが特徴的に思えたが、それは本質ではなかった。大切なのは、その試合に勝つための戦い方とメンバー構成を選択することだったのだ。アギーレ監督は言う。「どういうスタイルを求めるかと言えば、上位にいけるスタイルだ。素晴らしいスタイルだと言われて、ランキング44位だったりするよりも、あまり良いとは言えないスタイルで20位以内に行きたい。だから、あまりスタイルは重視していない」。また、こうも言った。「相手の力が上回っている場合はカウンターを狙うこともある。毎回ボールを繋いで、毎回負けるということになれば、それはあまり良くない」。 ウルグアイ戦、ベネズエラ戦ともにイージーミスで失点し、1分け1敗の成績で9月シリーズを終えたが、指揮官の志向は思いのほか早く浸透している印象だ。続く10月シリーズでは10日に新潟でジャマイカと、14日にシンガポールでブラジルと戦うことになっている。スカウティングをした上で、ジャマイカを押し込んで崩せる相手と判断すれば、ベネズエラ戦の前半の延長線上のメンバー構成、つまり、柴崎岳のようなプレーメーカーをインサイドハーフに起用し、パスを繋いでコンビネーションで崩していこうとするはずだ。 その後、ブラジル戦を迎え、再びウルグアイ戦のようなメンバー構成、戦い方を選択したとしても、それは後退を意味しない。ブラジルに勝つために、柔軟な戦い方を採ったと見るべきだろう。「次のリストをご覧になるとき、誰が良くて誰が良くなかったのか分かると思う」。指揮官は早くもメンバーの変更を示唆している。次のリストにも、柔軟な戦い方を可能にさせる、多彩なメンバーが名を連ねているはずだ。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)