建材・人件費の高騰響く…住友重機械工業、建機工場の稼働延期
住友重機械工業は横須賀製造所(神奈川県横須賀市)内で2025年8月の操業開始を予定していた建設機械工場が、数カ月先にずれ込む見通しを明らかにした。建材費と工事人件費が当初の見込みより大幅に値上がりしているためで、塗装棟など一部建物も仕様を変更することも検討する。従業員の配属については予定通り進める見通し。 稼働が遅れるのは、建機子会社の住友建機の横須賀工場で、同社にとって国内第2の製造拠点となる。 既存の千葉工場(千葉市稲毛区)は油圧ショベルの受注好調が続き、高水準の生産と製品納期の長期化が顕著な状況。一方、付近が住宅地で増産余地が少ないため、住友重機械工業の横須賀製造所で横須賀工場の建設を進めてきた。 横須賀工場は建屋面積2万2000平方メートル、従業員約225人で、投資額は約65億円を予定。千葉工場では台数が多い中・小型ショベル、横須賀工場は35トン以上の大型ショベルと特別な機能を持ち運転席が持ち上がるタイプの応用機ショベルを生産し、棲み分ける方針だった。 建設現場の人手不足や世界的なインフレなどを背景に、建材費や建設現場の人件費が大幅に高騰している。住重では投資額の上昇を抑えるため、「塗装棟をはじめ、一部建物は完成時期を先送りしたり、造船所の設備を当面使って中身を縮小することも検討する」(下村真司社長)。 ただ北米や欧州の建機需要回復が遅れているため、工場完成時期が遅れても業績への影響は少ない見通しだ。 住友重機械工業は24年2月に、横須賀製造所で行っていた商船の新造船事業からの撤退を表明。同製造所内に半導体、IT関連分野や環境装置分野の研究所を建設するなど構造転換を進めている。