10月の全国消費者物価、電気補助金などで2カ月連続鈍化 基調は変わらず
Tetsushi Kajimoto [東京 22日 ロイター] - 総務省が22日発表した10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は、108.8と前年同月比2.3%上昇した。伸び率は2カ月連続で鈍化した。 政府による電気・ガス代補助が0.26ポイント下押ししたが、物価の基調は変わってないと総務省幹部は説明している。ロイターがまとめた民間予測はプラス2.2%だった。 より広義の物価総合指数は前年比2.3%上昇した。物価の基調を見る上でより重視され、欧米のコア指数に近いとされる生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)も同2.3%上昇した。 10月はコメ類全般の価格が58.9%上昇し、比較可能な1971年1月以降で最大の伸びとなったが、総務省幹部によると物価全体への影響は軽微だった。 <日銀の目標超えて推移> 10月のコア指数の伸び率は前月の2.4%から鈍化し、8月に直近ピークの2.8%を付けた後、2カ月連続で減速している。 為替の円安やウクライナ情勢によるエネルギー、食料品など一次産品の輸入物価高騰もあり、コア指数は2022年4月以降、日銀の2%物価目標を超えて推移している。 消費者物価指数は、日銀が金融政策を決める上で重視する経済指標の1つ。植田和男総裁は21日の講演で、次回12月の会合までの1か月間に公表される経済指標の内容を見極めた上で政策を判断していくとの方針を示した。 市場では、12月追加利上げを予想する向きも根強くあるが、為替市場で急激な円安が進まない限り、日銀は来年にかけてゆっくり利上げできるとの声も聞かれる。 「政府の補助金再開にもかかわらずコアCPIは2%台を維持しており、このことは来年度を通じて2%インフレが維持されることを示唆している」と、みずほ証券チーフエコノミストの小林俊介氏は指摘する。 「内生的なインフレが定着するまで、日銀は時間をかけて利上げできる環境が整った。追加利上げを急ぐ必要はない」と話している。ただ例外は為替とし、ドル円が160円に迫るようなら即時の追加利上げもある得るとみている。