“猿の惑星”は将来、現実になる?知られざる力を京大が発表
ディザスター・アクション映画の『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が公開中だが、その主人公の猿(チンパンジー)について、京都大学の研究グループが興味深い研究結果を発表した。 “猿の惑星”によって描かれているものは、近い将来、現実になるかもしれない。発表された内容は、「大人のチンパンジーが血縁関係のない双子の子どもを世話する行動を初めて確認した」というもの。映画のように、言葉を使い、人間と戦う、という話ではないものの、これまでの常識が覆される内容になる。 調査したのは、京都大学霊長類研究所の友永雅己准教授や聖心女子大学の岸本健准教授ら研究グループ。チンパンジーは稀に双子を出産するが、母親以外の大人のチンパンジーが、子育てに参加しないために母親の育児負担が大きく、成人に至るまでに片方、もしくは両方が死んでしまうという。しかし、高知県立のいち動物公園(香南市)で2009年に生まれた二卵性双生児のチンパンジー男の子『ダイヤ』と女の子『サクラ』が、ともに順調に成長していたことから母親以外が育児に関与している可能性があるとして、2011年4月から1年間、両親ら計6頭とともにその行動を観察。その結果、双子それぞれに対して、母親以外の大人による世話行動が観察され、特に『サクラ』に対しては、双子たちとは関係のない大人のメスのチンパンジーが「背中に乗せて移動する」といった世話行動を行っていたことが確認され、これまでの「子育ては母親または血縁個体が行う」というチンパンジーにおける常識を覆す結果となった。 フィクションとして描かれている『猿の惑星:新世紀(ライジング)』だが、猿たちがコミュニティーの中で、仲間を気遣い、猿たちが協力し合って生活している姿が描写されている。今回の調査結果は、チンパンジーによる双子の子育てにも、母親以外の大人が子育てに協力するというもので、映画で描写されている内容に近いものがあると言える。今後、チンパンジーが進化を遂げていけば、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』の主人公で猿のリーダー、シーザーのように妻を持ち、父親にもなり、家族と仲間を守るために行動していくようなことが起こるかもしれない。 ※出典:京都大学研究成果 ■公開情報 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』 監督:マット・リーヴス 出演:アンディ・サーキス、ゲイリー・オールドマン、ジェイソン・クラーク、ケリー・ラッセル、 配給:20世紀フォックス映画 (C)2014 Twentieth Century Fox 全国公開中