「生成AI大進化」まとめ、2025年を占うOpenAIやグーグル、MS動向と予測
【OpenAI】高性能モデルの開発にも注力
OpenAIは、5月に実施したオンラインイベントでChatGPTの大型アップデートを発表。新モデルの4oがリリースされるとともに、デスクトップアプリの提供や無料プランの機能強化を発表した。 10月には、生成結果を別ウィンドウでAIと共同編集できる「Canvas」の試験提供を開始。Claudeが数か月先行して導入していた「Artifacts」に相当する機能で、ドキュメント作成やコーディングで利用する場合に重宝するものだ。 さらに同月末には、新しい検索機能「ChatGPT Search」が登場。Perplexityなどの検索特化型ツールと同様の使い方もできるようになった。 秋頃からは、「高度な音声モード」も順次提供を開始。従来の音声対話モードに比べて応答速度が大きく向上し、会話の割り込みなどもできるなど、人間同士の会話に近いやりとりが可能になった。 12月上旬から約2週間にわたって行われた発表イベント「12 Days of OpenAI」では、推論モデルを無制限で利用できる月額約3万円の最上位プランや、動画生成AI「Sora」のリリース、高度な音声モードの動画アクセスの開始など、大小さまざまな新機能やアップデートが続々と披露された。 イベントの最終日に発表された次世代の推論モデル「OpenAI o3」は、数学やコーディングの分野で非常に高い性能を誇り、AGI(汎用人工知能)開発のための評価指標「ARC-AGI」ベンチマークでも新記録を達成しているという。OpenAIは以前からAGI開発を長期目標として掲げているが、これら高性能な推論モデルの開発も、AGI時代を見据えたものといえよう。 ライトユーザーがサービスを利用しやすくなるような改善にも積極的だ。たとえば、5月のアップデートでは、当時の最上位モデルにあたるGPT 4oが無料ユーザーにも制限付きで提供されるようになった。 これは、「無料で試したけれど、出力結果が今ひとつだった」という初心者ユーザーの挫折体験の減少に大きく貢献しているはずだ。加えて、ログインしていない状態でも利用できるようになり、「アカウントを作るのさえ億劫」という層にまで生成AIの体験が届くようになっている。 ユーザーの裾野を広げて汎用性の高いサービスを提供すると同時に、AGIを視野に入れた高度なモデルの開発にも注力する。そんな“二本柱”のバランスよく成長させていくことが、同社のスタンスなのかもしれない。