5点の衣類に付着した血痕の色について法医学者らの証人尋問始まる 検察側証人は「弁護側の実験も不十分」 袴田巌さん再審公判
いわゆる袴田事件の再審は5点の衣類に付着した血痕の色について、法医学者らの証人尋問が始まりました。証言した1人は「一般論では血痕は黒くなるが弁護側の実験も不十分」と述べました。 袴田巌さん(88)は1966年旧清水市で、みそ会社専務一家4人を殺害したなどとして、死刑が確定しています。 去年10月に始まった再審やり直し裁判では、事件から1年2カ月後にみそタンクの中から見つかった5点の衣類が、袴田さんの犯行着衣かどうかが最大の争点となっています。 弁護側は、これを捜査機関がねつ造した証拠だとして、5点の衣類についた血痕の色について 「赤みは消える」と主張。 一方の検察側は、「赤みが残る可能性はある」と激しく対立しています。 25日朝浜松市で取材に応じた袴田さんの姉ひで子さんは。 袴田ひで子さん(91) 「いつもと一緒。検察の証人尋問、何を言うかしっかり聞いてみたい」
池田名誉教授は
船引とわ記者: 「きょうから3日間の日程で検察、弁護側双方が請求した法医学者らの証人尋問が始まり再審の最大の山場を迎えました」 25日は検察側が請求した証人の元法医学者、池田典昭九州大名誉教授と、検察側共同鑑定の座長を務めた久留米大医学部の神田芳郎教授が証言に立ちました。 池田氏は「一般論として血痕は黒くなるが弁護側の実験は赤みが残っていたことに対する阻害因子を考えておらず無理がある」と述べました。 また、再審開始を認めた 東京高裁の決定に関して問われると、「『赤みが残っていたからねつ造』という1点においてだけ科学としておかしい」と述べました。
神田教授
続いて証言した神田教授も高裁決定を、「科学的にもきちんとしておらず納得できない」と批判しました。 その上で「血液と血痕では血痕の方が黒くなる反応が遅くなるのは一般的には常識。 黒く変化するには酸素の量ではなく、濃度が重要な要因だがみそタンクの底では濃度が非常に低く、1年2カ月の間に黒くなっていなくてもおかしくない」と証言しました。