日本人には不要?必要?「グルテンフリー」を真面目に考える(専門家が監修)
日本人にグルテンフリーは必要なのか?
日本人にはセリアック病患者はほとんどいない。ならば、わざわざグルテンフリーな食生活を選択する必要はなさそうに思えるが…。 「日本人は欧米人に比べると小麦の摂取量が少ないため今はまだ目立っていない可能性はあります。ただ、過敏性腸症候群の一部の人はグルテン不耐症に当てはまるともいわれています。 ちょっとした日々の不調にグルテンが多少関与している可能性はあるので、グルテンフリーをひとつのきっかけとして自分の食生活を見直すという考え方はありだと思います」 米が主食とはいえ、その消費量は年々減っていく一方のニッポン人。国民1人が消費する米の量は60年代に比べて2022年はなんと約半分。 朝はパン、昼はうどん、夜はパスタ。そんな食生活が珍しくないという人。食後、お腹が痛くなってすぐ下痢をする、仕事の集中力が続かない、とにかくだるくてやる気がしないという人。もしかしたらその原因を辿っていくと、小麦由来のグルテンに辿り着くかもしれない。 小麦断ち、一度試してみる価値はありそうだ。
「うどんやそうめんは消化がいい」はウソ
猛暑で食欲がないときはそうめん、風邪をひいたときは卵とじうどん。消化のいい小麦の麺類は体調が悪いときのベストチョイス。 「というのは思い込みで、喉越しがいいので食べられるということと消化がいいということが混同されているだけです」 なんと、うどん、そうめんは実は消化がいいわけではない? というかむしろ消化が悪い、と福島さんは言う。 「肉や魚などのタンパク質が胃の中で1時間くらいで消化されるのに対して、うどんなどは7~8時間程度、そのままの形で胃の中に残っています。これは小麦だけでなく米でも同様で、炭水化物が入ってきても膵臓は本気で消化酵素を出さないことが原因です」 胃の滞留時間は長いが小腸からは速やかに吸収されるのが炭水化物の特徴。 人類が穀物を安定栽培して摂取するようになってから1万年程度。膵臓が本気を出さないのは、ヒトの消化システムが虫や獣肉などタンパク質中心の食生活に合わせた構造のままだから、とも考えられている。