日銀短観、GDPと並ぶ「超重要指標」で日本経済の先を読む
地政学リスクの高まりなどもあり、日本国内の製造業の動向に注目が集まっている(写真:Praphan / PIXTA)
テレビでもおなじみ、第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣さんが「ニュースでよく見る経済統計」をわかりやすく解説するコラムです。(原則隔週配信)日銀短観やGDP(国内総生産)と並ぶ日本3大指標の1つが「鉱工業生産指数」です。簡単に言えば、企業の「生産(ものづくり)」が活発かどうかを見る指標で、日本の景気動向を見定めるうえで非常に重要です。 というのも、国内総生産に製造業が占める比率は2割前後ですが、その動向は建設業や企業向けサービス業などにも影響を及ぼすからです。製造業の活動には、設備投資関連財や建設用資材、乗用車をはじめとする耐久消費財などモノの生産状況が反映されます。 鉱工業生産指数とは、日本の鉱業・製造業の活動状況を総合的に示す指標で、経済産業省が各事業所に調査し、翌月下旬に「速報値」を発表しています。約600品目の毎月の生産量を基準年の平均値で割って指数を算出しており、基準年は5年ごとに変わります。現在は2015年1~12月の平均値を100としていて、数値が100を超えるかどうかよりも変化の方向が重要です。 つまり、鉱工業生産指数は鉱工業部門に属する製造業の事業所が国内で行っている生産活動について、体系的に捉えた指標と言えます。生産や出荷、在庫、在庫率、製造工業生産予測などの各指数から構成されていますが、個人投資家が注目するべき指標は、次の2つです。
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永濱 利廣