箱根駅伝V5へ万全エントリー青学大へ“調整力”で東海大が挑む
昨季までの東海大はトラックのタイムを積極的に狙ってきたが、今季は夏以降、「箱根駅伝」に照準を絞ってトレーニングを積んでいる。今冬はトラックレースを封印。起伏のある丹沢湖ハーフ(11月25日)にペース走で出場した後、2度の富津合宿を行うなど、前年以上にボリュームのあるメニューをこなしている。 両角速駅伝監督は、「これまではトラックレースに出しながら調子を確かめてきましたが、昨年の八王子ロングディスタンスを好走した選手はみんな箱根がダメでした。本番の1週間前にグッと上がってくるように調整しています」と話す。 例年11月下旬に八王子ロングディスタンスと1万メートル記録挑戦競技会があり、そこに箱根出場校が大挙して出場している。そして、両角監督の指摘通り、予想以上のタイムが出ると、箱根に合わせるのが難しくなる。下記は昨年の両レースで好タイムを出した選手の箱根戦績だ。 ※( )は第94回箱根駅伝にエントリーされた選手における1万メートルのシーズンランキング。 塩尻和也(順大)27分47秒87(2位)→2区10位 鬼塚翔太(東海大)28分17秒52(3位)→3区3位 山藤篤司(神奈川大)28分25秒27(7位)→1区6位 永戸聖(山梨学大)28分30秒59(9位)→1区17位 三上嵩斗(東海大)28分32秒24(10位)→1区7位 川端千都(東海大)28分32秒94(11位)→10区16位 舟津彰馬(中大)28分35秒07(12位)→1区12位 菅真大(城西大)28分35秒56(13位)→2区12位 1万メートルで日本人学生歴代4位の27分47秒87をマークした塩尻は2区で「1時間6分台」を目指していたが、1時間9分26秒と伸び悩んだ。鬼塚は3区で区間3位も、区間賞を獲得した山本修二(東洋大)に1分12秒も引き離されている。永戸や川端はそれぞれ区間17位、同16位に沈むなど、ほとんどの選手が期待外れに終わった。 選手としてはコンディションの良い時期にトラックで好タイムを出しておきたい気持ちがある。しかし、11月下旬に快走してしまうと、調子が上がりすぎて、正月には状態が落ち込んでしまう。トラック1万メートルはスピードが必要だが、箱根は約21~23キロを単独で走らないといけない。スピード以上にスタミナが大切になるため、トレーニングの流れもチグハグしたものになってしまうのだ。 その点、青学大の「調整力」は際立っている。11月4日の全日本大学駅伝で完勝した後、原監督は、「箱根駅伝に向けては、青山メソッド、勝利の方程式が確立されていますので、1月2日・3日に合わせて粛々淡々と取り組んでいくだけです。ノロウィルスやインフルエンザなどで直前にバタバタしない限り、光は見えてきた。データで裏付けされていますから、高確率で狙えるんじゃないでしょうか」と自信を口にしていた。全日本後は、例年と同じく、世田谷ハーフ、1万メートル記録挑戦競技会に出場。そこでも例年以上の走りを見せている。