ボラティリティーのショート人気、インド株安定でオプションに注目
(ブルームバーグ): 米ジェーン・ストリート・グループが10億ドル(約1570億円)を稼いだとされるインドのオプション市場が世界の金融業界から注目されているが、多くのトレーディング会社は比較的シンプルな戦略を採用している。ボラティリティーに対するショート(売り持ち)だ。
インドの株価指数が小幅なレンジ内で推移すると見越すこうした戦略、「ショートボラティリティー」に詳しい市場参加者5人が、非公開の情報だとして匿名を条件に明らかにした。
市場参加者らによれば、デリバティブ(金融派生商品)取引の規模を拡大するため、オプション市場に膨大な資金が投じられているインドはオプション取引件数で世界最大の市場となっている。
高速取引のトレーダーがオプションを売る一方で、ロング(買い持ち)オンリーのファンドや個人投資家は投機や相場急落への備えとしてオプションを買うことも多い。
自己勘定トレーディングを手がけるジェーン・ストリートは多額の利益を得た戦略の詳細な情報について、23日までに米連邦地裁判事への開示を命じられている。ただ、同社の戦略がこうした取引を利用したものだったと示すものはなく、同社の社外広報担当者はコメントを控えている。
インドが豊かになるとともに、世界的な資産運用会社の中国離れもあってインド株は上昇しており、こうしたボラティリティーをショートする戦略は今のところうまみが大きい。
ブルームバーグの集計データによると、インドの代表的な株価指数が2%以上動いたのは、過去500回の取引セッションのうち9回だけ。ただ、こうした戦略はリスクが高く、相場が急に大きく動いた場合は多額の損失を被る恐れもある。
ジェーン・ストリートがインドでのオプション戦略の機密情報を持ち出したとして、ヘッジファンドのミレニアム・マネジメントに移籍した元社員2人を提訴したことを受け、インドのオプション市場に対する関心が先月大きく高まるとともに、2人がどのように利益を確保していたかを巡り観測が広がった。