尖閣諸島の国有化から3年 政府の現在の対応は?
尖閣諸島の3島が国有化されたのは、ちょうど3年前の2012年9月11日です。国有化以降、尖閣諸島が耳目を集めることは比較的少なくなっています。その一方で、中国公船や漁船がたびたび現れて、領海侵犯を繰り返す事態は途絶えていません。さらに、最近は中国のみならず台湾も尖閣諸島の領有権を主張するようになりました。複雑化する尖閣諸島問題に、現在の政府はどんな対応をしているのでしょうか。 【図】中国・明時代の支配域は? 古文献に見る尖閣諸島の歴史的経緯
灯台メンテナンスや領海警備強化
尖閣諸島は、2010年に中国漁船衝突事件が起きて大きな注目を集めました。 それまで個人の私有地だった3島は、総務省が借りているという扱いになっていました。それでは領土を守れないとして、石原慎太郎都知事(当時)は尖閣諸島の都有化を宣言。政府はそれに連動する形で尖閣諸島の3島を国有化しました。 尖閣諸島は沖縄県石垣島の北方約150キロメートルに点在する島の総称です。主に5つの島と3つの岩礁から成り立っていますが、そのうち魚釣島・北小島・南小島の3島が2012年9月11日に国有化されました。沖縄本島から遠く離れた尖閣諸島は、戦前期に人が住んでいたこともありますが、現在は無人島になっています。国有化によって、3島は海上保安庁が管理する国有財産になっています。 「2012年に国有化された3島が海上保安庁の管理下にある理由は、海上保安庁が領海の安全な航行を確保できることや他国から守る手段を持っていることが大きな理由です。しかし、それ以前の2005年から海上保安庁は魚釣島にあった灯台の管理を引き継ぎ、定期的に灯台のメンテナンスをおこなっています」(内閣官房副長官補室) 尖閣諸島には、2012年に国有化された3島以外にも島があります。大正島は2012年に国有化された島ではないため、財務省が所有しています。そうした島の領海警備も海上保安庁が担当しています。 海上保安庁は新型ジェット機や巡視船の整備費として、来年度予算に約509億円を概算要求しています。これらは、尖閣諸島沖をはじめとする領海警備を強化することが目的です。