現役ドライバーが語る「白タク業界」事情…1年半で約9600万円荒稼ぎした大規模グループ逮捕
飲食店従業員らを相手に無許可でタクシー営業(白タク行為)を行ったとして、神奈川県警は先月30日、大和市中央の飲食店店長、吉開貴大容疑者(52)ら3人を道路運送法違反容疑で逮捕した。逮捕された吉開容疑者は約40人の白タク運転手を束ねており、営業後の飲食店従業員や店の客らを中心に白タク営業を行っていたという。 ■逮捕は極めてまれ 「吉開らは通常の半額料金で客を乗せ、昨年1月から今年6月にかけ、約9600万円を売り上げていました。40人規模の白タクグループの逮捕は県内過去最大です」(社会部記者) 吉開容疑者らの白タクグループが逮捕されたのは「国土交通省への情報提供が端緒」(同前)だというが、そうした情報提供がない限り、「逮捕されることは極めてまれです」と東京・銀座の現役白タク運転手は言う。 「銀座にも今回逮捕されたような白タクグループがいくつかありますが、大きなグループの仕切り役は長年、銀座に顔が利く人の場合が多く、そうした“顔役”がクラブなどの店から発注を受けて配車を行います。そのほか、客は顔なじみの店の関係者らからの紹介がほとんどで、一見の客を乗せることはめったにありません」 そうしたいくつかのグループが固定客を抱えており、車が足らない場合、配車を融通し合うこともあるという。 「馴染みの客を乗せている限り、(逮捕の)リスクは少ない。近年逮捕されているのは路上で声かけをしたり、タレコミなどがほとんどです。後部座席に客を乗せていて警察に不審がられ職務質問されても“友人です”などと言えば金銭授受の現場でも見られない限り、いくらでも言い逃れはできますからね」(同前) インバウンド需要と相まって、昨今、タクシー不足が深刻化している。そうした背景から「副業感覚で白タク運転手になる人も多い」(同前)という。 免許と車とツテさえあれば、誰でも参入できる白タク運転手。今後も増え続けるのかもしれない……。