「刑事訴訟法110・111条を適用しない」と明記した大統領官邸の捜索令状に法院行政処長「令状判事は主流的な見解に従った」
裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の逮捕状と共に発布した大統領官邸の捜索令状には、「軍事上・公務上の秘密の場所は責任者または機関の承諾なしに捜索できない」という刑事訴訟法の条項を適用しない、と適示された。この適用除外の適示について、千大燁(チョン・デヨプ)法院行政処長は「当該の令状判事は主流的な見解に従ったものとみられる」と述べた。 【表】西部地裁の大統領官邸捜索令状を巡る刑訴法例外論争
千処長は7日、国会法制司法委員会の懸案質疑で、保守系与党「国民の力」の朴俊泰(パク・チュンテ)議員から「裁判官が法の適用を任意に排除する権限がどこにあるのか」という質問を受けた。これに対し千処長は「刑事訴訟法の注釈書をはじめ、多数の学説も『物的押収捜索と人的逮捕捜索を区別して扱うのが適切』という見解だと理解している」としつつ、このように答弁した。 「刑事訴訟法110・111条を適用しない」と令状に明示したことについて、千処長は「確認的な意味とみられるが、確認的だとすればあえて書く必要はないのではないかという、そういう指摘はありそうだと思う」とも答弁した。 千処長はまた、尹大統領側が裁判所の逮捕状発布を批判していることについて「適法に手続きを経て行われた裁判については、ひとまずはそれを尊重し、それについての争いは手続きの中で行われるのがわれわれの法治主義の核心と考える」「裁判を通して(逮捕状発布が)行われたとしたら、ひとまず手続きの中で、今回の異議申し立てなりその他今後の逮捕適否審なり、幾つかの手続きを通して争うのが法治主義」と答弁した。 先にソウル西部地裁の李珣衡(イ・スンヒョン)令状専担部長判事は、尹大統領に対する捜索令状を発布する際「刑事訴訟法110条と111条は適用しない」と適示し、物議を醸した。両条項は「軍事上・公務上の秘密施設や資料は責任者の承諾なしに押収捜索できない」という内容で、警護処が公捜処の大統領官邸捜索を阻止する法的根拠だ。ところが判事が、尹大統領逮捕のための捜索は阻止するな、とした。法曹界からは「極めて異例のこと」という指摘が出た。 尹大統領側は今月2日、「違法・無効」として裁判所に異議申し立てを行ったが、西部地裁刑事7単独の馬晟寧(マ・ソンヨン)部長判事は3日後の今月5日に申し立てを棄却した。 イ・スルビ記者