<目指せ頂点・21センバツ敦賀気比>/下 打撃面向上で優勝へ /福井
昨秋の北信越大会で優勝したことなどが評価され、センバツ出場が決まった敦賀気比。北信越大会では大きく崩れない投手陣と堅い野手陣が力を発揮し、選手らも自信を深めた。一方、打撃面では、新チーム結成時から心がけてきた「つなぐ野球」が実を結ぶ場面もあったが、課題も残った。選手たちは1月29日の選考委員会までの間も、課題と向き合い練習に励んでいた。 東哲平監督が「新チームは目立った選手がいない」と話すように、「一発」を打てる強打者がいないことを選手たちも自覚してきた。新チームがまず目指したのが、次につなぐ野球だ。選手らは打撃練習で、「相手の守備の間を抜ける低く速い球を飛ばす意識をチーム全体で共通して持っている」(大島正樹主将)。北信越大会でもその成果が現れ、準決勝での逆転勝ちや、決勝での大量得点などにつながった。 だが、打撃面はさらなる向上が必要と選手らは感じている。北信越大会後の練習試合では、愛工大名電(愛知)や八王子(東京)など好投手がいるチームを相手にすると、打線がつながらず、攻めあぐねた。攻め方の種類を増やそうと、天候が優れない冬場の室内練習でも、マシン打撃の際に試合の場面をイメージしながらバントなどの小技と強打を打ち分ける工夫を凝らしている。 選手らは打力を高めるための努力を惜しまない。東鉄心選手(2年)の打撃練習は、多い日で1日2000本。「しんどいが、乗り越えれば甲子園が待っている」と自身にムチを打つ。大島主将はラーメン鉢サイズのどんぶりでご飯を毎食2杯以上食べ、長打力を付けるために体重を増やしている。北信越大会時に65キロほどだった体重は1月末時点で約10キロ増えた。 前川誠太選手(同)も「三番打者として長打力を付けたい」と増量や打撃練習に取り組み、屋外練習では「飛距離が伸びてきた」と手応えを感じる。今井士温選手(同)はこれまで公式戦で8試合に代打で出場し、4打点を記録するなど活躍したが、短打が多いのが課題だった。北信越大会後はウエートトレーニングなどに力を入れ、「最近はスイングスピードが上がってきた」と実感する。 選考委員会の日も、出場決定が伝えられた後、選手たちは普段通り黙々と練習をこなした。出場が決まった喜びはもちろんあるが、目標はあくまで日本一。「北陸に2度目の優勝旗を」。3月19日のセンバツ開幕まで、ナインたちは練習に余念がない。【大原翔】