東京・台東区の暴力団本部事務所に撤去命令…地裁、暴力団排除条項ない契約の解除認める
東京都台東区の指定暴力団「松葉会」本部事務所を巡り、地権者が同会側に土地の明け渡しなどを求めた訴訟で、東京地裁(本多智子裁判長)は21日、事務所が入るビルの撤去や土地の明け渡しを命じる判決を言い渡した。 【図】一目でわかる…ここ10年で撤去された、各地の組事務所の数
判決によると、地権者は1995年に同会の関連企業と土地の賃貸借契約を締結し、企業がこの土地に建てたビルが同会本部事務所として使われ始めた。2020年に火炎瓶が投げ込まれる事件が起きた後、地権者は契約解除の意思を企業に伝えた。訴訟では賃貸借契約の解除の有効性が争点となった。
判決は、近隣住民に危害が生じる土地利用はしないという賃借人の義務に違反があったと指摘。「当事者間の信頼関係を破壊する行為で、賃貸借関係の継続を著しく困難にした」などとして、契約解除は有効だと判断した。
都内で記者会見した原告側の代理人弁護士は、契約に暴力団排除条項が定められていなかったことを踏まえ、「暴排条項がない契約でも暴力団事務所を撤去しうる先例として重要な意義がある判決だ」と述べた。