「改悪」と言わざるをえない…鉄道ファンが激怒の2万人署名 「青春18きっぷ」リニューアルにJRの思惑
駅の無人化、進む自動化
しかし、なぜ、こうも使い勝手が悪くなってしまったのか。 「JRとしては、現場の手間を減らしたいということだと思います。今はどの駅も無人化したいという風になっていて、自動化が進んでいます。早朝は都内の駅でも駅員がいない改札は珍しくありません。『みどりの窓口』を減らしているのも、とにかく人を減らしたいということなのでしょう。また、各社が独自にフリー切符を発売しているので、自社の商品に囲い込みたいという狙いもあるのかもしれません」(同) 「青春18きっぷ」が発売されたのは国鉄時代の1982年。もともと、若者に安く旅を楽しんでもらおうと企画された。年齢制限はなく、全国のJR線の普通・快速列車に限って乗り降り自由で、1日乗り放題の乗車券だった。 今はほとんどなくなってしまった夜行列車でも、「青春18きっぷ」は使えた。JRだと、「サンライズ出雲/瀬戸」が現存するが、特急のため利用はできない。「青春18きっぷ」を使えた定期の夜行列車は、2020年に運行が終了となった「ムーンライトながら」が最後だ。 「昔は夜行列車のマニアックな使い方もありました。例えば、東京発大垣行きの『ムーンライトながら』は午後11時10分に東京を出発しますが、横浜と小田原の間で日付が変わります。小田原までは普通の切符を買い、小田原から『青春18きっぷ』を使うんです。そうすると、翌朝は大垣から列車を使い放題できる。1枚で夜行列車代と翌朝からの電車賃をまかなえたんです」(同) 今回の改変では、購入した時点で利用開始日を決めるという点も、鉄道ファンからは不評だ。 「今までは『フリーの切符』だったんですが、今回の改変で“性格”が変わった気がします。普通の『旅行商品』のようなイメージですね。『フリーの切符』の時は、旅行雑誌でマニアックな使い方などが紹介されて、楽しむファンも多かった。今後はそれができなくなる。本当に残念でなりません」(同) 鉄道ファンの悲しみの声は、JRに届くのか。 デイリー新潮編集部
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