勝どき、晴海フラッグ…タワマンに群がるのは世帯年収1,500万~2,000万円の小金持ち?〈真の富裕層〉がタワマンを選ばないワケ
タワマンはコスパが悪い?
一見、夢のような暮らしを想起させるタワマンだが、現実に住むとなるとそう簡単ではない。 ●億単位の資産が必要 まず、経済的な観点から考えてみよう。ファミリーで住むなら、億単位の資産が必要だ。それも、同じ間取り・広さでも、上層階になるほど価格が上がっていく。見下ろす景色が少し遠くなるだけで、1,000万円以上も多く支払うのは合理的な選択なのだろうか。 そのうえ、年々あがっていく管理費や修繕積立金の負担は重たい。そこに駐車場等を借りたら、さらに支出は積み上がっていく。「ファミリータイプの部屋+車」なら、物件のローン返済とは別に、月額10万円超が固定の生活コストとしてのしかかる。仮に10万円だとしても、年間で120万円。 もしそれだけの金額を、物件価格と別に固定コストとして支払うなら、他の投資資金に充てるなど、別の有用な使い方をしたいという人がいても驚きはない。特に本当の富裕層こそ、お金の使い方に細かいとよく聞く。 ●待ち時間、騒音、災害時の脆弱性 次に生活の質という観点からいえば、エレベーター待ちのイライラ、上下左右からの騒音、そして何より気になるのが災害時の脆弱性……。もし大震災が起きて、電源が落ちてエレベーターが止まったら、飲み物や食べ物を確保するのも困難だ。 非常食を常備するパントリーを取れるほどの広さがあるのは、最上階に近い100m2超の部屋を確保している数世帯だけで、それ以外は階段を使って食料を調達しなければならない。 もし高層階だったら……階段の往復だけで次の日にはひどい筋肉痛になってしまうだろう。真夏に電源が落ちて、クーラーが止まったら、サウナ状態でとても生活できる状態ではなくなる。 こうしたリスクとリターンを冷静に分析し、ある程度の富裕層の人は、立地のよい低層マンションや、庭付きの一戸建てを選ぶ傾向にある。彼らは見栄といった他の人からの評価よりも、地に足をつけた生活の質を重視するからだ。