軽金属鋳物のJMC、アルミ用大型低圧鋳造機増設。ギガキャスト試作用の能力倍増
アルミニウムやマグネシウムの鋳物などを製造販売するJMC(本社・横浜市港北区、社長・渡邊大知氏)は大型のアルミ用低圧鋳造機を1基増設する。自動車分野で注目が集まっているギガキャストの試作品向け需要を捕捉することが狙い。新設備は年内に設置を完了し、来年中には稼働させたい考えだ。同社の大型低圧鋳造機は2基体制となり、非常に大型となるギガキャスト試作向け鋳物の製造能力は倍増する。投資金額は約4千万円。 渡邊社長は28日にウェブ形式で行われた1~6月の決算説明会で「来期以降を見据えた戦略的な投資は粛々と行っていく」と話した。 ギガキャストは複数部品で構成されていた自動車の車体構造部品を、大型のダイカストマシンで1部品に一体成形するもの。部品点数・製造工程の大幅削減が可能な技術として注目が集まっている。 同社が手掛けている砂型鋳物は巨大な設備を使わず大型のアルミ構造体を短納期・少量生産でき、ギガキャストを用いた部品の試作用途に適している。一方で極めて大型の鋳物は製造が難しく手掛けれられる企業は少ない。そのため技術で付加価値を確保しやすい領域となっている。渡邊社長は「ギガキャスト関連の需要は出始めており、時期は明確ではないが確実に顕在化が進んでいく」と期待している。 低圧鋳造炉は鋳型に溶融金属を機械制御により低圧・低速で注入する設備。鋳巣と呼ばれる内部欠陥の少ない高強度な製品を製造できる。同社の増設機は定盤面積が2メートル×2メートルで、溶解重量は約500キログラム。自硬性砂型によるアルミ合金の鋳造部品を製造するものとなっている。昨年に長野県飯田市で竣工させたコンセプトセンター第8期棟に導入する。 同社ではギガキャスト試作関連の需要捕捉に向けた設備投資を活発化させており、年内をめどに大型鋳物に対応したショットブラストや搬送装置も導入する計画となっている。