異例の「JRきっぷで他社の高速バスOK」から5年 競合がタッグ組んだローカル線「予想以上の成果」
末端へ行くほど鉄道利用は少ないが…
徳島~阿波海南間77.8kmを結ぶJR牟岐線は、阿南までの都市近郊路線の性格と、阿南~阿波海南間の閑散路線の側面をあわせ持つ路線です。輸送密度も大きく異なり、徳島~阿南間の平均通過人員は3964人。これは土讃線や予讃線の松山駅以西よりも多い数字です。対して阿南~牟岐間は427人、牟岐~阿波海南間がJR四国で最も少ない153人。いずれも2023年度の数値です。 【豪華!】これがJRきっぷでOKな徳島バスです(写真) 徳島~阿南間は高速化工事が行われ、最高速度は110km/hへ向上。日中も30分間隔で運行されています。その一方で阿南~阿波海南間は2019年より4往復減便され、運行間隔が2時間空く時間帯も生じました。 こうしたなか、徳島県はJR四国へ対し、牟岐線と並行する徳島バスの「室戸・生見・阿南大阪線」を活用できないかと提案したのです。 これにより、鉄道とバスの時刻を調整して運行間隔をならすだけでなく、阿南~甲浦間(阿波海南~甲浦間は阿佐海岸鉄道)では鉄道のきっぷや定期でも室戸・生見・阿南大阪線に乗車できるようにしたのです。バスの途中乗降区間を現金で利用する場合はバスの料金が必要ですが、競合する区間で手を取り合った画期的施策といえます。 では、牟岐線および室戸・生見・阿南大阪線はどのような利用がなされているのでしょうか。2024年11月の月曜日、実際に乗車してみました。 牟岐線は徳島13時30分発の普通列車(4549D)です。2006(平成18)年から2014(平成26)年にかけ製造された1500形で、転換式クロスシートにトイレもある快適な気動車です。なお、一部列車では国鉄型キハ40・47形も運行されています。日中でしたが、40人程度が乗車していました。 徳島は「水都」と呼ばれるほどで、牟岐線も令田川、國瀬川、勝浦川などを多くの鉄橋で越え、水路も線路に並走します。特に阿波中島駅を過ぎると、200m以上の川幅がある那賀川を大鉄橋で越え、見ごたえがありました。