中国経済に安定の兆し、刺激策効果-米大統領選で先行き不透明感
(ブルームバーグ): 中国当局が新型コロナウイルス禍以降で最も積極的な景気刺激策を打ち出し、同国経済は安定化の兆しを示している。だが、来週に迫った米大統領選が中国景気の持ち直しに不確実性をもたらしている。
国家統計局が31日発表した10月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.1と、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値の49.9を上回った。活動拡大・縮小の境目は50で、50を上回るのは6カ月ぶり。9月は49.8だった。
建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは50.2。9月は50、エコノミスト予想は50.3だった。
クレディ・アグリコルCIBの新興国担当シニアストラテジスト、エディ・チョン氏は「製造業PMIが予想を上回り、好転の兆しがやや出ている点はプラスだが、中国経済の先行きにとって重要なワイルドカードである米国の選挙になお左右される」と分析した。
中国が9月下旬に利下げや住宅市場のてこ入れ策を発表した後、今回のPMIは10月分としては最初の公式経済指標となる。今月は1週間の国慶節(建国記念日)連休があり、労働日数が減少した。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は今回のPMIについて、10-12月(第4四半期)にとって「幸先の良いスタート」だと指摘。「PMIは向こう2カ月も拡大を維持するとわれわれは見込んでいる」と述べた。
先行きには不透明感があり、特に来週の米大統領選でトランプ前大統領が返り咲く可能性がある。トランプ氏は中国製品に60%の関税を課す考えも示唆しており、その場合は中国の対米輸出は落ち込み、中国経済にとって明るい材料が損なわれる恐れがある。
10月の製造業PMIでは新規受注が50ちょうどと安定化したものの、新規輸出受注は47.3にやや低下し、引き続き低調だった。
トランプ氏がホワイトハウスに戻った場合、中国が来年に内需支援を強化する理由は増える。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は11月4-8日に北京で会議を開く。最終日の8日に待望の財政措置のパッケージを巡る採決が行われる見通しで、来年の刺激策に関する手掛かりが得られる可能性もある。