中国、南鳥島沖で「マンガン団塊」大規模採鉱を計画…商業開発認められればレアメタル独占の可能性
東京大学の加藤泰浩教授(地球資源学)は「今回の大規模試験に成功すれば、中国の採鉱技術は世界トップレベルになる。中国に供給網を支配されないよう、日本はEEZ内に資源を持つ優位性を生かして開発を急ぐべきだ」と訴える。
採鉱から製錬まで戦略的に技術向上を
中国が日本の排他的経済水域(EEZ)に近い海底で、レアメタル(希少金属)資源の大規模な採鉱試験をすることが明らかになった。商業開発の国際ルールが整備されることを見据えた中国の動きに日本も遅れないよう、技術開発の強化などで対応を急ぐ必要がある。
国際ルール策定には、生態系への悪影響を懸念する一部の国から根強い反対意見がある。ただ、環境に配慮した採鉱技術が実現すれば、商業開発を容認する議論が加速する可能性もある。
日本は南鳥島周辺のEEZ内に、国内消費量75年分以上のコバルトを含むマンガン団塊など、開発可能な膨大な資源を持つ。だが、日本は優位性を十分生かせていない。資源を引き揚げるのは難易度が高く多大なコストもかかるため、日本の採鉱技術は遅れている。
一方、「海洋強国」を掲げる中国は、2016年に深海開発に関する国内法を整備するなど国を挙げて技術を蓄積。陸上でも希少な鉱物資源の寡占化を進めており、希少金属の国際供給網を支配する意図も読み取れる。
日本は、公海での商業開発が「解禁」されることに備え、採鉱から製錬まで商業開発に必要な技術を戦略的に磨き、これ以上の後れを取らないようにすべきだ。(科学部 笹本貴子)