S&P500で「最も割高」、CIAも出資するデータ分析企業パランティアに迫る
S&P500で最も割高な銘柄
創業当初にCIAからの出資を受けたパランティアは、主にインテリジェンス分野で活動していたが、2010年にJPモルガンを最初の商業顧客として獲得した。それ以来、同社は成長を続け、今では約600社の顧客を抱えている。 「成長率が25%以上で、利益率が25%を超える企業は非常に稀だ。その事実こそがパランティアを際立たせている」と投資銀行D.A.デイヴィッドソンでアナリストを務めるギル・ルリアは述べている。 ■S&P500で最も割高な銘柄 しかし、現在のPSR(株価売上高倍率)が36倍にも達し、S&P500で最も割高な銘柄となったパランティア株の将来の見通しを、アナリストの多くは疑問視している。同社の株をカバーする20人のアナリストのうち、買い推奨を出しているのはわずか5人で、残りはホールドまたは売り推奨だ。レイモンド・ジェームズのアナリストであるブライアン・ジェスアレは先日、パランティア株を買いからホールドに格下げし、パランティアは「高い評価に見合う成長が必要だ」と投資家向けのノートで述べていた。 一方、バンク・オブ・アメリカのペレス・モラはより楽観的で、一部のアナリストがパランティアをソフトウェアの視点で見すぎており、「防衛請負業者の視点で評価すべきだ」と指摘した。彼女は、パランティアを売上高ではなくフリーキャッシュフローを基に評価しており、将来のフリーキャッシュフローの予測に基づけば、現状のバリュエーションは理にかなったものだと述べている。 しかし、ファンタジーシリーズの『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する水晶球の名を持つこの会社の株価の上昇が、今後も続くかどうかは誰にも分からない。カープは、今年の年初から3億ドル(約444億円)以上のパランティア株を売却しており、ティールも10億ドル(約1480億円)以上を売却した。 先ほども登場したアナリストのルリアは、パランティアとテスラを比較して、2021年頃のピーク時のテスラ株についてこう語った。「テスラ株は非常に長い間、あらゆる評価基準や指標をはるかに上回るバリュエーションで取引されていた。その理由は、人々がテスラのミッションや将来の可能性に非常に興奮していたからだ」 しかし、テスラの株価は現在、2021年の最高値から40%下落している。一方、バンク・オブ・アメリカのペレス・モラは、米国とその同盟国を支援するというカープのミッション重視のリーダーシップが、パランティアの株価を財務状況に左右されにくくしていると指摘した。 カープ自身とパランティアという会社が持つカルトな存在感は、現状ではまだマスクやテスラに並ぶほどにはなっていないものの、パランティアの株価を押し上げ、その注目度をさらに高めている。「私が今、本当に難しいと感じ、非常に大きな負担だと考えていることの一つは、誰にも知られない人物であり続けることが難しくなっていることだ」と彼は、2013年のフォーブスのインタビューで述べていた。
Phoebe Liu