「幸せになれる気がしない」コ・アソン主演『ケナは韓国が嫌いで』3月公開へ 予告編も解禁
「82年生まれ、キム・ジヨン」に続くベストセラー小説の映画化『Because I Hate Korea』(英題)が邦題『ケナは韓国が嫌いで』として、2025年3月7日(金)より公開決定。併せて予告編、ポスタービジュアル、場面写真とともに主演のコ・アソン、共演のチュ・ジョンヒョク、チャン・ゴンジェ監督からコメントも到着した。 【画像】『ケナは韓国が嫌いで』場面写真も一挙解禁 ソウル郊外で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)。大学を卒業後、金融会社に就職し、片道2時間かけて通勤している。学生時代からの恋人ジミョン(キム・ウギョム)は、「自分が就職したら支える」と言うが、そんなジミョンにケナは苛立ちを隠せない。 だが、ケナの母は、裕福な家庭で育ったジミョンとの結婚を待ち望んでいた。一方、ケナが家族と暮らす小さな団地は老朽化が進み、再開発が予定されていたが、母は転居先の家の購入費用もケナに頼ろうとしていた。 ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、恋人との不透明な未来、仲は良いけれど息が詰まるような家族との日々――。ここでは幸せになれないと思ったケナは、ニュージーランドへの移住を決意する。 小説「82年生まれ、キム・ジヨン」と同じ出版社から2015年に刊行され、ベストセラーとなった小説「韓国が嫌いで」(チャン・ガンミョン著)を原作に、韓国の若者が直面する現実を映し出す本作。 現代の韓国社会を舞台に、生まれ育った場所で生きづらさを感じる女性が人生を模索する姿を描き、第28回釜山国際映画祭オープニング作品として話題を呼んだ。 監督は「第2のホン・サンス」や「韓国の是枝裕和」と称され、映画『ひと夏のファンタジア』(2015)で知られるチャン・ゴンジェ。2015年に原作を読んだ監督自らが映画化を熱望し、9年の歳月をかけて完成させた。監督は、主人公のケナとは年齢や性別、立場も異なるが、共感し、強烈な印象を受けたという。 「韓国は過酷な競争社会で、自殺率は世界でも最悪の水準です。この10年は社会を揺るがす大きな事件も続きました。韓国の華やかな一面が取り沙汰される一方で、“本当に社会は健康なのか?”と問いたいと思い、韓国を好きになるためにこの映画を作りました」と語る。 本作で主人公ケナを演じるのは、ポン・ジュノ監督『グエムル-漢江の怪物-』で中学生の娘役を演じて鮮烈な印象を残し、『サムジンカンパニー1995』などに出演してきたコ・アソン。韓国とニュージーランドの2か国を跨ぎ、人生に葛藤する30歳前後の女性を等身大で体現する。 主人公ケナと同じ時期にニュージーランドに留学し、かけがえのない友人となるジェイン役には、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」でクォン・ミヌ役を務め、一気に知名度を上げたチュ・ジョンヒョク。2025年1月にはTBS系新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」(脚本:野木亜希子)で日本ドラマデビューを果たし、さらなる活躍が期待される。 第45回青龍映画賞では主演女優賞(コ・アソン)、新人男優賞(チュ・ジョンヒョク)にノミネートされた。 高層ビルの合間を飛ぶ飛行機のカットで始まり、締めくくられる予告編では、主人公・ケナ(コ・アソン)の「なぜ韓国を出るかって?韓国が嫌いで」という台詞とともに、ケナの韓国での鬱屈とした様子が映し出される。 片道2時間の通勤、興味のない仕事に上層部の顔色を伺う上司、馴染めない競争社会、そして寒すぎるソウルの冬。そして「真面目に生きても幸せになれる気がしない」と漏らすケナに、「将来は僕が養うからさ」と見当違いな反応を見せる恋人ジミョン(キム・ウギョム)。ケナは「そういうことじゃない」「私を惨めにさせないで」と苛立ちを募らせるばかり。 一念発起したケナは、自分の幸せを求めて、韓国を抜け出すことを決める。向かった先は、ニュージーランド。ケナは、新しい人生を歩み出す。異国の地での新しい仕事、出会ったジェイン(チュ・ジョンヒョク)や友人たちとのかけがえのない日々。幸せを探したその先で、ケナが見つけたものとは? 併せて解禁となったポスタービジュアルは、「ここから抜け出すことにした。」というケナの決意を込めたキャッチコピーが添えられ、空港で大きなリュックサックを前後に背負い、どこか一点を見つめるケナの姿を捉えたもの。 キャスト・監督から日本の観客に向けて届いたコメントでは、主演を務めたコ・アソンは「韓国の人だけでなく、誰もが共感できることを願ってケナを演じました」と役に込めた思いを、自身も留学経験があったというチュ・ジョンヒョクは「私自身の経験をキャラクターに反映させました」と語り、「家族関係や外国で暮らすことの孤独感といったテーマに深く共鳴」したことを明かしている。 キャスト&監督よりコメント全文 コ・アソン 「自分が生まれた国であっても、嫌いになることだってある」 韓国の人だけでなく、誰もが共感できることを願ってケナを演じました。 穏やかな人生を手放して、見知らぬ土地で自分の道を切り開く人物を観ていただけたらと思います。 チュ・ジョンヒョク ニュージーランドでのワーキングホリデーを通じて自身のアイデンティティと向き合うジェインの姿は、実際にニュージーランドに留学していた過去の自分と重なり、私自身の経験をキャラクターに反映させました。あの頃見た風景、出会った人々、そして当時抱いていた感情を再び思い出しました。ケナの物語では、家族との関係や外国で暮らすことの孤独感といったテーマも描かれますが、そこに深く共感する自分にもいました。この映画は、私個人にとっても、過去の大切な思い出と再会させてくれた特別な作品です。 チャン・ゴンジェ監督 この映画は、私が2015年11月に原作小説を読んですぐに映画化しようと決めた物語です。韓国で暮らすということはどういう意味を持つでしょうか。20代後半の未婚女性である“ケナ”は、自分を取り巻く環境を変え、韓国とは距離を置きつつ韓国での生き方を考えます。ケナの周りの人たちは彼女を理解できません。ですが、ケナは敢えて冒険の旅に出ます。そして、移動して、自ら動くことによって新しい人々と出会います。この映画は、その過程で出会う人々、彼らと過ごした時間を経て、少しずつ変化していくケナに焦点を当てています。最後にケナはどんな決断を下すことになるのでしょうか。観客の皆さんも、ケナと一緒に旅に出ていただければと思います。 『ケナは韓国が嫌いで』は2025年3月7日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほかにて全国公開。
シネマカフェ シネマカフェ編集部