「え、それ聞く?」外国人が戸惑う日本メディアの特殊な取材、日本とアメリカのメディアは意外と違う
3月20日、韓国で開催されたメジャーリーグベースボール、期待のドジャース大谷選手を中心におおいに盛り上がりました。サッカー派の私ですが今年も大谷選手はじめ、多くの日本人メジャーリーガーが活躍する姿をこちら、アメリカで見られることを楽しみにしています。 ――と、この記事を書き出した矢先、とんでもないニュースが飛び込んできました。大谷選手の通訳をしていた男性が違法賭博に手を出し、ドジャースを解雇されてしまったというのです。人気者の近辺でおこった事件ということで、日米で報道が過熱し連日取材合戦の様相を呈しているようです。
■たびたび感じる「日米のマスコミの違い」 そのことは後半に触れたいと思いますが、その前に、一応私の会社も多少はマスコミの取材を受けることがあり、そのたびに感じている日米のマスコミの違いがありますので、今回はそのことについて書いてみたいと思います。 私の会社のCEOはジム・ケラーといいまして、手前味噌になりますが、半導体の世界ではコンピュータの性能を決定するプロセッサーで数々のヒット作を生み出した設計者として知られる、ちょっとした有名人です。
そのジムがAI用の半導体を作る、という発表をしたところ、たくさん日本のマスコミの取材を受けました。例えるなら、村上春樹さんがネットフリックスの次回作の脚本を書いているので、それを聞きつけたマスコミが質問してきた、という感じでしょうか。が、この取材で考えさせられることがありました。 「ジムさんは今何歳ですか」 実はこれ、こうした一連の取材で日本の記者から一番多く聞かれたことです。(え、年齢ですか? それを聞いて何がしたいんですか? )と心の中で何回口走ったことでしょう。もしかすると何回か心の声が外に出てしまっていたかもしれません。
実はあとからわかったのですが、この年齢の情報というのは単なる「ファクトの確認」でしかありません。他にも出身地、国籍、会社の本社はどこにありますか? CEOに就任したのは何年からですか、ということも必ず聞かれます。こうした基本プロフィールを確認することはどうやら取材の「テンプレ」らしく、当然そこが取材の本命の質問ではありません。 ■アメリカの記者の質問はストレート 一方、普段接しているアメリカの記者の質問というのは、大抵なんらかの記事を書く狙いがすでにあり、そのための質問をストレートに聞いてきます。