「え、それ聞く?」外国人が戸惑う日本メディアの特殊な取材、日本とアメリカのメディアは意外と違う
終始淡々とした態度のまま取材が終わってしまいます。するとその直後にCEOから「さっきの記者はものすごい無表情だったけど、なにか気に入らなかったのか?」と不安そうに聞かれることがあります。 これについても、日本で広報をしている友人に聞いたところ、日本のプレスは取材先に対し自分の個人的な態度を見せないのだそうです。つまりいいか悪いかは読み手である読者がファクトを理解したうえで決めることなので、取材の段階で記者自身がキャッキャ言って喜んだりしていては、バイアスがかかってしまう、という考えなんだそうです。
思い入れたっぷりで書かれるアメリカの記事、客観的に淡々と書かれる日本の記事。一見アメリカの記事のほうが言いたいことをクリアに打ち出しているのでよいように思うかもしれません。しかし一方的な情報に偏らないよう、読者が複数のニュースから情報を取捨選択する必要があるともいえます。 さて、ここで冒頭の大谷選手の通訳報道についてみてみましょう。 メディアは国民の「知りたい」という欲求によって動かされているところがあります。人気者の大谷選手のことならなんでも知りたい、というところから、今回の件も余計に大きな話題になっているのは間違いありません。
■いきなり「バイアス」がかかってるような報道 日本のメディアのニュースを見ると、元通訳氏がバイトしていた寿司屋さんのコメント、たばこの匂いがしていた、サインボールを私物化していたなど、おそらく事件の本質とは関わりのないところにまで取材がおよんでいるのはちょっと驚きです。 一方、アメリカのメディアも「学歴詐称ではないか」など、今このタイミングで掘り返さなくてもいいような話題もとりあげています。 こうしたある意味どうでもいい情報が出てくるのは、報道側が当事者について一定の印象を与えるような意図をもって報道しているからでしょう。これらが事実かどうかはさておき、本来徹底して客観的であるはずの日本のメディアとしてちょっとニュースの出し方にあやうさを覚えてしまいます。
このような時、ニュースの受け手であるわたしたちは、「それはそれとしてこの問題の本質はなんなんだろう」と考えることで冷静でいられるのではないでしょうか。
デビット・ベネット :テンストレント最高顧客責任者