ひと足早く春の喜びをおすそ分け〈花も人ものびやかな庭〉2月
長野県須坂市、ブドウやリンゴの畑に囲まれた美しいナチュラルガーデン。建築の設計やインテリアデザインを手がけていた田口勇さんと片岡邦子さんが東京から移住し、24年前につくり始めました。『趣味の園芸』連載「長野 ガーデンソイルの四季 花も人ものびやかな庭」では、園芸ファンに愛されるショップガーデンの、センスあふれる庭づくりの秘けつに迫りつつ、庭と一緒に年齢を重ねたショップのお二人に、美しい庭を続けていくためのコツを学びます。 2月のガーデンはまだ雪の下で眠っていますが、みなさんにはひと足早く春の様子をご紹介。光り輝いて春の喜びに満ちたガーデンです。 【上の写真】石畳の小道には、両側にスイセンとムスカリをそれぞれ2~3品種植えてある。黄色のスイセンは庭を明るくしてくれるが、ほかの花との組み合わせが難しいので、近年は'タリア'などの白花をふやしている。(写真は4月初旬の様子) ■2月号 連載より(一部抜粋)
萌黄(もえぎ)色に包まれる春を想う
昨年、撮影があった4月初め、近くの臥竜公園ではサクラが満開。ガーデンは木々が芽吹いて、萌黄色の緑に包まれていました。「緑の大半は雑草だったりするのですが(笑)、日ざしも暖かくなって気分がウキウキします」という片岡さん。 実際の2月は雪で白く染まる山々から寒気が下りてきて、北側の軒先でつららが光ります。「寒々しい景色でも、冬だからこその美しさを味わいます」 雪の下で球根植物は芽を出し、宿根草はいつ躍り出ようかと待ち構えているでしょう。下旬に根雪が消えると、地際からささやくような春の息吹が聞こえてきます。一番乗りを競うようにスイセンが咲きだします。
屋根つきベンチの足元を飾るスイセン。お気に入りの'ウェデイング・ベル'などを群植している。
庭木のなかではシダレヤナギが一番早くほんのり若葉色になり、レンギョウやヒュウガミズキなどの花木もほころぶ。
●『趣味の園芸』2024年2月号 連載「長野 ガーデンソイルの四季 花も人ものびやかな庭」より