うつ病などの「メンタルヘルス不調」の予防・治療に効果的な生活習慣とは?【医師解説】
うつ病の治療にはどんなものがある?心療内科医が解説
編集部: うつ病の治療にはどんなものがありますか? 薮野先生: うつ病の治療は、主に、休養、薬物療法、精神療法(カウンセリング)の3つがあります。 なかでも特に「休養」は重要で、休養をとりながら薬物療法や精神療法を行う場合がほとんどです。 編集部: ほかにはどんなものがありますか? 薮野先生: 最近はマインドフルネス(瞑想)などもよいとされていますし、アメリカ発の新しいうつ病治療としては、磁気刺激で脳の特定部位を活性化させる「反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS)」があります。 しかしこちらは、どの医療機関でも受けられるわけではないことや、保険適用外なのでやや高額なのが難点です。 編集部: もっと身近に取り入れられるものはありますか? 薮野先生: 運動がおすすめです。運動をすると、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスが改善され、気分が安定したり、抑うつ感が緩和されたりという研究データがあります。 ちょっとしたウォーキングやランニングなどであれば、取り入れやすい方も多いと思います。 編集部: 運動は身体的な効果だけではないのですね。 薮野先生: そうなのです。もちろん身体を動かすことで、血流が改善されてリラックスできたり、運動後に身体的な疲労が生じ、質の良い睡眠がとれたりなど、身体的な効果も数多く報告されています。運動は、うつ病などの治療はもちろん、予防という意味でもとても良いのです。
メンタルヘルスの不調を予防するのに効果的な生活習慣とは?
編集部: 実際に、どのような運動をすると良いのですか? 薮野先生: 難しい運動をする必要はありません。先ほども申し上げましたが、ちょっとしたウォーキングやジョギング、ランニング、サイクリングなどを生活に取り入れることから始めてみてください。 1人では不安という方は、当院でも併設しているような厚生労働省の認可を受けた「認定健康増進施設」を利用してみるのも良いかもしれません。 編集部: ほかにはどんな生活習慣がメンタルヘルス不調の予防に役立ちますか? 薮野先生: 基本的なところですが、喫煙や過度な飲酒を控えることやバランスの取れた食事や質の良い睡眠を心がけることなどが、うつ病などの予防に非常に有用です。 また、太陽の光を浴びることや人と話すこともとても良いとされているので、負担にならない範囲で取り入れてみてください。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 薮野先生: 運動習慣をつけたり、うつ病予防・改善に有用とされている生活習慣を無理なく取り入れたりすることで、気持ちが前向きになる、夜はリラックスして就寝できるなどの効果が期待できます。しかし、それですべてが改善されるわけではありません。 状態や環境によっては、薬が必要な場合もありますので、これらの習慣を取り入れてみてもメンタルヘルスの不調が改善されない場合は、無理をせず専門家へ相談してください。それぞれに合った方法でサポートしていきます。