桜島望む磯エリアに観光新時代…JR日豊線「仙巌園駅」3月15日開業、ビーチハウスリニューアル、カフェもオープンへ
鹿児島市吉野町に新設されるJR日豊線「仙巌園駅」が3月15日開業する。観光スポットへのアクセス向上や経済的な波及効果が予想され、地元や経済団体の期待は膨らむ。2025年は磯エリア内の旧集成館や異人館を含む「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されて10年。桜島と鹿児島湾を望む磯ビーチハウスにはカフェやゲストハウスが入り、通年利用も始まる。磯エリアの新時代の幕が上がる。 【写真】3月開業を目指し、国道10号沿いに建設中の仙巌園駅=2024年12月下旬、鹿児島市吉野町
磯新駅設置協議会事務局の市世界遺産・ジオ・ツーリズム推進課によると、3月の開業に合わせて、記念式典を開く。鹿児島中央駅などにはカウントダウンボードを設置し、歓迎ムードを高める。 「歴史と、自然と、人と、優しくつながる駅」がコンセプトの新駅は現在、プラットホームや上屋を建設中。7月完成予定の駅前広場も雰囲気が感じられるようになりつつある。JR九州によると、仙巌園駅には1日あたり上り31本、下り26本の計57本が停車する予定だ。 ■■ 鹿児島市街地側から暗いトンネルを抜け、新駅に向かう様子を想像してみた。 列車のドアが開き、開放的なプラットホームに降り立つと、まず目に飛び込んでくるのは、世界遺産の旧集成館機械工場だ。「ストーンホーム」と呼ばれた、この長さ約80メートルの白っぽい石造り工場跡との距離はごくわずか。振り返ると眼前には、鹿児島湾に浮かぶ活火山・桜島が鎮座する。思わず立ち尽くしてしまう観光客も多いだろう。
新駅の規模(22年9月時点)は、プラットホームが92メートルで4両編成の車両に対応できる。景観に配慮したシンプルな上屋は幅25メートル。無人の改札を出ると、駅前広場が広がる。勾配がゆるやかなスロープも整備され、だれもがアクセスしやすい造りとなっている。 ■■ 仙巌園では開業に合わせて、伝統芸能などを堪能できる催事を計画する。現在修理中の望嶽楼と錫門のうち、望嶽楼は今春には、リニューアルした姿がお披露目できそうだ。 仙巌園駅から徒歩圏内の磯海岸のビーチハウスもリニューアルされ、3月にはカフェなどの飲食店がオープンする予定。海水浴シーズンだけでなく、通年での利用が始まる。2階部分にはゲストハウスも入るという。市スポーツ課によると、ビーチハウスの大部分は民間に貸し出し、飲食店などは業者が運営。トイレやシャワーなどのビーチハウス機能は建物内に残し、市が25年夏以降に改修を計画している。
南日本新聞 | 鹿児島