『餓狼伝説 City of the Wolves』小田泰之氏インタビュー。『スト6』からリュウではなくケンを選んだ理由、今後の参戦が希望されるキャラ、『カプエス』の可能性など今後の展望に迫る【TGS2024】
2024年9月26日~29日に千葉県・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2024(TGS2024、26日、27日はビジネスデイ)。SNKブースでは、2025年4月24日発売予定のプレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X|S、PC(Steam/Epic Games Store)用ソフト『餓狼伝説 City of the Wolves』(以下、『餓狼伝説CotW』)が出展されている。本作のチーフプロデューサーの小田泰之氏、プロデューサーのジョシュア・ウェザーフォード氏にお話を聞くことができたので、その様子をお届けする。 【記事の画像(1枚)を見る】 今年のSNKブースは『餓狼伝説』最新作を大きく推している。 小田泰之(オダヤスユキ ): SNK『餓狼伝説 City of the Wolves』チーフプロデューサー ジョシュア・ウェザーフォード(ジョシュア・ウェザーフォード): SNK『餓狼伝説 City of the Wolves』プロデューサー 小田Pに今後の展望について聞いた ――まずは、発表されたばかりの『ストリートファイター』コラボについてお聞きしたいと思います。なぜ、参戦キャラクターにケンと春麗を選んだのでしょうか? 小田: 『ストリートファイター』と言えばリュウ、ケンになるんですけど、技が似通っているところもあるので、ユーザーさんのことを考えると「ちょっとバリエーションあったほうがいいんじゃないかな」と思いまして。となると、つぎはリュウかケンかどちらかということになるんですけど、じつは『カプエス(カプコン VS. SNK)』のときに、テリーとケンには絡みがあったんですよ。また、リュウというキャラクターを入れるなら、SNKとしてはリョウ・サカザキや草薙京といっしょのほうがいいのかなと思いまして、『餓狼伝説』にきてもらうならケン、そしてもうひとりは、女性キャラの代名詞でもある春麗というのがベストだという理由です。 ジョシュア: リュウは『フォートナイト』などでも忙しいですからね(笑)。 ――ケンと春麗のキャラ性能については、どのようなコンセプトで作成しているのでしょうか? 小田: さまざまな 『ストリートファイター』シリーズのタイトルのなかで、ケンも春麗も動きかたが変化していきました。とくにケンはバリエーションが豊かなので、まずは皆さんが持っているケンのイメージを大事にして、あとはシステム的に『餓狼伝説』のアレンジになじむように、という点を意識して作っています。 ――春麗のほうはいかがでしょうか? 小田: 春麗のほうは、ケンほど大きく変わってきてはいないと思いますが、 『餓狼伝説』は機動力が高いゲームなので、そのあたりで違和感がないように作りたいと思っています。 ――参戦理由のひとつとなったケンとテリーの絡みは覚えていますが、ほかのキャラとの絡みもゲーム中でたくさん見られるようになるのでしょうか? 小田: ストーリーはもちろん、すでに発表されているRPGモード“EOST”(EPISODES OF SOUTH TOWN)の部分で、そういったシーンが垣間見られるようになりますので、楽しみにしていてください。 EOSTやスマートスタイル、AIバトルなど、新規プレイヤーでも楽しめる遊びかたへのこだわり ――いまお話に出た、サウスタウンの制覇を目指すEOSTについては、どんな内容を目指しているのでしょうか? 小田: 詳しくは言えませんが、イメージとしてはプレイステーション版『ストリートファイターZERO3』のワールドツアーモードです。あのモードがすごくおもしろかった思い出があるんですよね。オープンワールドでグリグリ動くという感じじゃないんですけど、あのイメージに近いと言えます。 ――“りーさるぷらん”のチャンネルに本作のシステム紹介動画をアップした際に、「システムが多くて難しそう」とか「テクニック使い切れるのかな?」という意見が散見されたんですが、そういったプレイヤーさんに遊んでもらうための施策はありますか? ジョシュア: スマートスタイルという、ワンボタンで必殺技を出したり、簡単にコンボを決められたりするシステムがありますので、まずはこちらで好きなキャラを選んで遊んでもらいたいと思っています。プレイに慣れてきたら、ブレーキングやフェイントなどの上級者向けテクニックを使えるアーケードスタイルで遊んでもらえればと考えています。シングルプレイのEOSTも楽しいですし、長~く遊べるゲームだと思っていますので。 ――AIと対戦するモードについても、対人戦にまだ慣れていない新規の方が遊びやすくなる仕組みということでしょうか? ジョシュア: じつは『SAMURAI SPIRITS』のときにも試作段階でしたが、けっこうおもしろいアイデアだったので、遊びやすい要素のひとつとして入れようということになりました。 ――格闘ゲームが盛り上がってきて、「初めて格闘ゲームをプレイする」という人も増えているタイミングだと思いますが、いままで『餓狼伝説』シリーズをあまり知らなかった人へのアプローチは何か考えていますか? 小田: さきほど出たEOSTというもので、過去に登場したステージなどの豆知識を得られるような遊びを用意しています。そういったところで、少しずつ世界観に浸ってもらえればと思っています。あとはゲーム外でも、世界観の紹介を充実させていければとも考えています。 ジョシュア: SNKの有利なところなんですけど、幸い 『餓狼伝説』シリーズはいろんなタイトルがさまざまなハードに移植されているので、個人的には本作が発売されるまでに旧作を遊びながら待っていてほしいですね。 ユーザーからの参戦希望が多いキャラクターは? ――今回の東京ゲームショウで不知火舞が試遊できるようになるなど、追加キャラクターの情報もどんどん更新されていますが、今後の参戦キャラクターに関して、ユーザーさんの参戦希望が多いのはどのキャラクターでしょうか? 小田: ジョー、アンディがやはり多いですね。あとはキム兄弟も人気があります。 ジョシュア: とくに韓国のメディアにはよく聞かれますね。 ――国や地域によってかなり意見は違いますか? 小田: 最近はあまり片寄りは感じないですね。 ジョシュア: 海外はブルー・マリーという声が多いかもしれません。人気キャラなので。「フリーマン出して!」という声は聞いたことがないですけど(笑)。 ――じつは『餓狼 MARK OF THE WOLVES』でフリーマンを使っていたので、個人的には出してほしいんですけどね(笑)。ジョー東は、今回プリチャというキャラがいるので、そうなるといちばん人気はアンディですかね? 小田: そうですね。 ジョシュア: 「草薙京を出して!」や「藤堂はどこだ?」という人とかもいますよ。 すべてのコラボは『カプエス』につながっている⁉ ――いろいろなキャラの参戦が希望されていますけど、ちょっとコラボに話を戻しまして、『ストリートファイター』シリーズからの参戦がもっと増えたり、逆に『ストリートファイター』側にもっと『餓狼伝説』のキャラが参戦したりという構想はありますか? 小田: いまは何も決まっていないのでお話できることはないんですけど、最終的に世界中のFGC(Fighting Game Community)が「新作の 『カプエス』を作ってくれ!」というじゃないですか……それはわかっているんで(笑)。そこははっきり言って難易度はかなり高いと思いますけど、カプコンさんの開発チームとはつねに交流していて、仲よくできているので、可能性がないわけではないと思っています。 ジョシュア: 長い道のりになるかもしれないけど、着々と考えています。個人的につぎにやりたいのは、ほかのゲームで 『カプエス』を再現することですね。『大乱闘スマッシュブラザーズ』みたいに。(小田さんの顔を見ながら)嫌だと思ってるだろうけど、『フォートナイト』にはリュウがいるので、テリーにも銃を撃たせて、そこでも『カプエス』を再現したい! 『フォールガイズ』にはテリーと舞がいるので、そこにはリュウとか春麗を出して、いろんなゲームで『カプエス』を再現しましょう!! 小田: じゃあそれで!(笑) ――いったん格闘ゲームに話をしぼらせてもらいまして、『ストリートファイター』以外の、たとえば人気の高い『鉄拳』シリーズとのさらなるコラボの可能性などはあるのでしょうか? 小田: まず、「ほかのゲームとコラボをしない」という方針は一切ありません。やりたいことがあれば、いろんなところと雑談レベルではお話をしてるんですけど、会社どうしのことですので、お互いのタイミングがよくないと実現しないんですよね。 ――SNKさん的にはやる気は十分にあると。 小田: そうですね。ただ、お互いにメリットがないとダメですからね。タイミングが合わないと、デメリットになっちゃいますので。ユーザーさんにとっても、「もっと出してほしいオリジナルのキャラがいるのに、なぜほかのゲームのキャラを出すの?」となっちゃうじゃないですか。そこのバランスが難しいなあと思いますね。 βテストはどこかのタイミングで実施 ――最後に、βテストについては予定があるのでしょうか? 東京ゲームショウに来た人たちは試遊できたと思うんですけど、来れなかった人たちは遊べる機会を心待ちにしていると思いますので。 小田: まだ具体的に日程は決められていませんが、どこかのタイミングでやりたいと思っています。やっておいたほうが安心ですので。発表できるようになるまで、しばらくお待ちください。