変わる社会、変わらぬ使命に緒方禎己警視総監「期待と信頼に応え続ける」 警視庁150年 150/150
「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)や、(組織に属さずテロを起こす)ローンオフェンダーをはじめとする新たな治安上の脅威の多くは、情報技術の急速な発達と日常生活や社会経済活動のサイバー空間への広がりを背景に、その開放性や匿名性が犯罪者に悪用されている面が大きいと感じている」
「脅威の実相を正確に見極めた上で、人工知能(AI)を含む高度先端技術を積極的に導入し、民間の専門的な知見も活用して捜査力の高度化を図ることが必要だ。適時適切な情報発信を通じて自身や大切な人が犯罪の被害に遭わない、犯罪に加担しないための心がけと手立てを社会全体で広く共有することも重要だ」
■最後のよりどころ
--警視庁が今後どのような組織であってほしいか。期待や望むことは
「少子高齢化や労働市場の流動化をはじめとする社会の変化は、マンパワーを力の源とする警察、とくに警視庁にとって深刻な問題だ。『選ばれる組織』であり続けるために、魅力ある職場環境や多様な働き方が可能な勤務制度の構築に向けて変わる努力が必要だ」
「都民・国民にとって最後のよりどころである警察として、その思いや願いを受け止め、問題を解決する力を保持することで、期待と信頼に応え続けていきたい」(構成・警視庁キャップ 大渡美咲)
おがた・よしみ 昭和38年生まれ、福岡県出身。東大法学部卒。62年に警察庁に入り、愛知県警刑事部長、警察庁人事課長、京都府警本部長、警視庁副総監、警察庁次長などを歴任。令和6年1月に第99代警視総監に就任した。