清武弘嗣が「めちゃくちゃ好き」 招集→出番なしの欧州組を絶賛、感じた森保J最大の変化【インタビュー】
「能力のアベレージも、サッカーIQも高い」清武が見た森保ジャパン
だからこそ、欧州のクラブで活躍している選手が日本代表でプレーできていない現状には、もどかしさも感じていると話す。 「海外に行っている選手が増えて、ほぼ日本代表もそのメンバーなので、プライドも絶対にある。それこそ旗手選手はJで活躍して、海外に行って、バリバリやっていてスタメンで出ている。そういう選手が毎回試合に出られないというのは、不思議な感覚ですよね。攻撃もできるし、守備もできるし、ボールも捌ける。Jリーグにいた時からめちゃくちゃ良い選手だと思っていました。自分の時は、やっぱり上の選手たちがすごいと思っていたし、実際に力が抜けていたので、そこに食らいつく気持ちでした。でも、今の日本代表は、誰が出場しても普通にできると思うんです。実力はそんなに変わらない。攻撃に突出している選手がいれば、バランスの良い選手もいる。その組み合わせだけだと思うので、そういう意味ではもどかしいのではないかなと思います」 では、日本代表で試合に出られる選手、試合に出られない選手を分けるものは何なのか。 「そこは深いと思うんです。何かものすごく突出したものがあれば別ですが、基本的に今の日本代表選手は結構、トータル的な能力のアベレージも、サッカーIQも高い。だから、これはもうどの世界にもあると思うことなんですが、監督の好き嫌い、求めているもの、やってほしいこと、求めるコンディションになってくると思うんです。だから、森保さんが今選んでいる26、27人のなかで大枠に入っていても、いざ試合に登録する23人を選ぶ時に森保さんの考えもあるだろうし、チームとしてのコンセプトもあるので、力のある選手でも出られない。そこは、外から見ていてももどかしいなと思います。だから、監督も本当に難しいと思いますよ」 日本代表に招集されて活動に参加すれば、必然的に長距離の移動を強いられる。クラブでの活動に専念していれば、コンディション調整などもやりやすい。しかし、清武は日本代表への招集を断ることを考えることはなかったという。 「あの時は楽しかったですからね。試合ができる喜びもそうですし、注目されている喜びもありました。国のために、日本代表のために戦えているっていうのは、自分のなかですごく特別な思いがあったので。疲れとかもあまり気にしなかったです」 先発できない時もチームのために前向きに戦ってきた清武は、U-23日本代表ではロンドン五輪、そして2014年にはブラジル・ワールドカップ(W杯)のメンバー入りも果たした。その経験は「僕にとってはすごい財産でした。自分のサッカー人生が、オリンピックに出て、W杯に出て、自分の名前も覚えていただけましたし、こういう経験を今、年齢を重ねるごとに、次の世代に伝えていけることが、自分にとってプラスだと思います」と、日本代表として立った世界最高峰の舞台の経験が、今後のサッカー人生にも、かけがえのないものだと語った。 [プロフィール] 清武弘嗣(きよたけ・ひろし)/1989年11月12日生まれ、大分県出身。大分トリニータU-18―大分―セレッソ大阪―1.FCニュルンベルク(ドイツ)―ハノーファー96(ドイツ)―セビージャFC(スペイン)―C大阪―サガン鳥栖。卓越したテクニックと攻撃センスを武器に持つ日本屈指のMF。U-23日本代表としてロンドン五輪、日本代表では2014年のブラジル・ワールドカップを経験した。
河合 拓 / Taku Kawai