中村憲剛が語る「なぜ川崎フロンターレからは有望な若手選手が次々に生まれるのか?」
ピッチの中で何を感じるかといういうのを大事にしていた
── その結果として日本代表で活躍するような若手がどんどん育っていったわけですね。三笘薫、旗手怜央、守田英正、田中碧、谷口彰悟、板倉滉、三好康児……と錚々たるメンバーが揃っています。 中村 彼らは彼らで非常に意識が高かった子たちなので、その空気感の中で自分の目指す目標に向かっていました。後輩たちが自己主張できて、どんどんやりたいことやれる。それを年長者が大きく包む雰囲気はあったと思います。先人の先輩たちが作った空気を僕は引き継いただけですけど。 ── そして中村さんは試合も楽しむことが大事と仰っています。 中村 自分がサッカーを始めたのはボールを蹴るのが楽しくて、点を取るのが楽しくてというところがベースにあって。要は小さい頃からやってきたものが、グラウンドは広くなりましたけど、根っこが変わらないから。プロになっても“楽しむ”というのは自分の中でもすごく大事にしていたことなんです。 楽しいのってどういう時かって言えば、相手を攻略したり、自分たちのペースでサッカーをできている時だったりとか。楽しくない時はその逆ですよね。うまくいってないとか、自分たちがやろうとしたことを相手に防がれてる時とか。 そこが結構、僕の中ではラインというか、今、自分がこのピッチの中で何を感じるかというのを大事にしていました。ストレスを感じているのか、それともすごい高揚感を味わっているのか。結構その状況がサッカーはわかりやすいんですよね。点が入ったらうれしいし、いい流れになるし、その時に自分がどう振る舞うかというのをチームに状況に合わせてアジャストしていました。
僕が言うことの遥か上を行ってくれた方が絶対に面白い
── それは人生全般においても同じですか? 楽しく生きたいと思いますか? 中村 どうせ生きるなら、楽しく生きたいですよね。今回のようなお仕事も、せっかくオファーをいただいたので、ちゃんと自分の言葉として話すことで皆さんの希望に応えたいなと思うし、やって良かったなと思ってもらいたいというのは、いつも思ってることです。それは引退後、ピッチ外の仕事をすることが多くなってすごく思っていて。実は現役の時からピッチの中でみんなの期待に応えたいって言うのはあったんですが、それは今も昔も変わりません。