EVブランドに大激変するジャガーに期待はあるのか? 新型F-PACEに見た老舗イギリスブランドの未来を占う
2025年モデルにアップデートしたジャガー「F-PACE」にサトータケシが試乗した。おそらくジャガー最後の内燃機関搭載SUVになると思われる同車の魅力に迫る。 【写真を見る】新型F-PACE R-DYNAMIC HSE P400eの内外装(18枚)
重厚でまろやかな乗り心地
2016年にジャガー初のSUVとしてF-PACEがデビューしたときの第一印象は、スーパーハンドリングマシーンというものだった。 とにかくハンドル操作に対する反応が正確で、しかも車高の高さを一切感じさせないほどロール(横傾き)がコントロールされていた。ミニサーキットで試乗した際には、「ドリ車にしてもいいんじゃないか!?」と、妄想するぐらい感心した。 デビュー以来、F-PACEは熟成と進化を重ねており、ヨーロッパではプラグイン・ハイブリッド(PHEV)もラインナップするようになった。そして2025年モデルより、日本にもPHEVのF-PACE R-DYNAMIC HSE P400e が導入される運びとなった。 PHEVは、2.0リッターの直列4気筒ガソリンターボエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせ。先に欧州に導入された2024年モデルよりもリチウムイオン電池の容量が拡大され、満充電時のEV走行可能距離が53kmから65kmへと約20%伸びている。 試乗車は満充電に近い状態だったので、EVモードでスタートする。 EV走行では、スーパーハンドリングマシーンだと思っていたF-PACEの別の側面を発見する。無音でエンジンの振動がないEV走行だと、かえってタイヤからのノイズやボディが風を切る音が目立つケースも散見する。けれどもF-PACEの室内は静穏で、遮音対策がしっかりしていることが確認できた。 不思議なもので、EV走行中はバッテリーが減るのを避けたくなるのか、あるいは車内が静かなおかげで気持ちがやさしくなるからか、加速も減速も穏やかになる。こうした運転スタイルで感じるのが、重厚でまろやかな乗り心地だ。「へぇ、F-PACEってこんなに乗り心地がよかったっけ」と、思いながら、MERIDIANのサウンドシステムが奏でる澄んだ音を楽しむ。 走行距離とバッテリーの減り具合の相関を見ていると、フル充電で65kmというスペック通りにはいかないかもしれないけれど、8割、50km程度は余裕をもって走りそうだ。つまり、送迎とか買い物とか、ウィークデイの使い方だったらほぼBEVとして使えるということになる。