“異色”オーディション『No No Girls』に感じる新しい波 プロデューサー「ちゃんみな」の姿勢に共感続出
『No』と言われてきた人たちを救いたい、そしてその人たちの声を聴きたいと思ってこの名前をつけました」(『音楽ナタリー』2023年11月4日付記事)。 普通、こうしたオーディションのプロデューサーが、ここまで自分をさらけ出すことはない。あくまで客観的に、冷静な目で選ぼうとするだろう。 それに対し、ちゃんみなはプロデューサーでありながら、ひたすら熱い。そのベースには、自分と似た経験をし、似た悩みを抱えてきた女性たちへの共感がある。それがなによりもまず、この『No No Girls』をこれまでなかった異色のオーディションにしている。
そこから、このオーディションのポリシーである「3つのNo」、すなわち「No FAKE(本物であれ=自己表現)」「No LAZE(誰よりも一生懸命であれ=自己理解)」「No HATE(自分に中指を立てるな=自己肯定)」も生まれた。 募集に際しても、「身長、体重、年齢はいりません。ただ、あなたの声と人生を見せてください。」というちゃんみなからの異例のメッセージが添えられた。 ■審査員と候補者の圧倒的な近さ
そういうわけで、オーディションにあたっては、まず声が重視される。簡単に言えば実力主義だが、声にそのひとの人生が感じられるかどうかが最も重要という意味では、単なるスキル主義ではない。 美声かどうか、歌が正確かどうかではなく、「その人の人生が声に乗っていればいい」というのがちゃんみなの考える基本だろう。 公開された2次審査の様子からも、そのことが見て取れた。 2次審査は、ちゃんみなとSKY-HIの前で候補者が課題曲を歌う。それ自体はわりとオーソドックスなやりかただ。
だが違うのは、審査する2人のリアクション。それが実に素直なのだ。 こうしたオーディションでも、審査員が歌を聴きながら微笑むくらいはあるだろう。だがちゃんみなとSKY-HIは「スゲー」といった感嘆の声をストレートに発し、さらにはSKY-HIがたまらずリズムに乗って体を揺らし始める。そして歌い終わると、ちゃんみなが「これが実力の暴力です」と独特の表現で称賛する。 また、あまりの歌の凄さに最後はちゃんみなが立ち上がって拍手した候補者もいた。彼女の人生に興味を抱いたちゃんみなが、応募の動機を尋ねる。