3メガ銀かつてない資本余力、海外展開に弾みも-鍵握るM&A戦略
みずほFGはインドでプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やベンチャーキャピタル企業に焦点を当てた新たな分野への進出を検討。早ければ来年にも新分野の事業を開始したい考えだと事情に詳しい関係者が明らかにしている。
インドにおける買収・出資案件ではみずほFGと野村ホールディングスが同国最大の投資銀行の一つ、アベンダス・キャピタルの過半数の株取得に向けた入札に参加していることも明らかになっている。
メガバンク各社はインドでの中間所得層の広がりを背景に、個人向け金融でも今後高い成長を見込む。三井住友フィナンシャルグループは今年、インドの金融子会社「SMFGインディア・クレジット・カンパニー」に追加出資し、100%子会社化した。
三井住友銀行でグローバルバンキング部門共同統括責任役員を務める百留秀宗専務執行役員は「今後も必要な資源投入を継続しつつ、高い経済成長の果実をしっかりと捕捉していく」と述べた。
みずほFGで海外事業を担当する武英克副社長も「ホールセールからリテール、投資銀行領域から商業銀行領域まで、あらゆるビジネス機会を追求していきたい」とインド事業への期待を寄せる。
ピクテ・ジャパンの大槻奈那シニア・フェローは「株価純資産倍率(PBR)が1倍に届くか届かないかという中では、一層の資本の活用が課題になる」と指摘。その上で「非連続な成長を遂げられるかどうかの鍵はM&Aなどの投資戦略が握る」との見方を示す。
米国事業
3メガとも北米においてはアジアとは違ったアプローチを採る。CIB(コーポレート&インベストメントバンキング)モデルと呼ばれる企業や機関投資家向けの商業銀行と投資銀行業務を一体的に手掛ける事業に主軸を置いて展開している。
MUFGは08年のモルガン・スタンレーへの出資を機に同社との提携をテコに北米での事業を拡大してきた。米国では協働範囲をさらに広げ、ミドルマーケットと呼ばれる中堅企業を対象とした分野で資金調達やM&Aアドバイザリーの需要を取り込んでいく。