「あいちトリエンナーレ」は「あいち2022」へ 芸術監督・片岡真実氏が就任会見
「あいちトリエンナーレ」を引き継ぎ、2022年に愛知県で開催される国際芸術祭の組織委員会は17日、名称を「国際芸術祭『あいち2022』」に決定したと発表。芸術監督には片岡真実・森美術館館長が選ばれ、就任会見で「地域に根ざした愛知ならではの文化や歴史を現代アートの視点から再発見し、コロナで移動が制限される時代のモデルとなる国際展としたい」などと抱負を述べた。 「あいちトリエンナーレ」は「あいち2022」へ 芸術監督・片岡真実氏が就任会見(2020年11月17日)
海外向け名称は「Aichi Triennale 2022」
あいちトリエンナーレは2010年の初開催以来、愛知県と名古屋市を中心とした実行委員会形式で運営。会長は愛知県知事、会長代行は名古屋市長が務めてきた。しかし、昨年の企画展「表現の不自由展・その後」をめぐって政治と芸術の距離が問われ、有識者会議が組織体制の見直しを提言。行政は「推進協議会」として支援組織にとどまり、民間中心の「組織委員会」が新たに発足して運営を担うことになった。 9月に組織委員会会長に就いた大林剛郎・大林組会長は、新名称について「愛知の地名を強調し、シンプルで響きのよい名称を選んだ」と説明。一方、英語表記は国内では「Aichi 2022」、海外では「Aichi Triennale 2022」と使い分けるという。「海外ではこれまでの名称が非常に広く浸透している。組織自体が変わったので、前のレガシーを引き継ぎつつ新体制になったことを示すための変更」とし、昨年のネガティブなイメージを払拭するといった見方は否定した。
昨年の教訓生かし「溝埋めていく」
芸術監督に選任された片岡氏は、地元の名古屋市生まれ。愛知教育大学美術科を卒業後、ニッセイ基礎研究所都市開発部、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て2003年から森美術館に所属し、今年から館長を務める。国際美術館会議(CIMAM)の会長にも就くなど、国内外での幅広い経験やネットワークが評価された。また、初めての女性監督として新たな視点を打ち出すことも期待されている。 昨年のトリエンナーレについて片岡氏は「すでに議論が出尽くしている。あとはそこで学んだことをいかに生かすか。分断が残っているとすればその溝を埋めていく方法をこれから考えていきたい」と言及。開幕直後に物議を醸す形になった不自由展を意識するように「『現代アートって何?』という人がまだまだ多い中で、開幕して突然全部を受け入れることができないことや、現代アートのあり方が(政治や社会問題を直接反映する形に)大きく変わっていることもある」として、2022年の開幕前に「予習」や「準備体操」として一般の理解を深めたいとの意向を示した。 (関口威人/nameken)