土地の「相続税評価」が最大20%も減額に!「奥行価格補正率」とは【税理士が解説】
土地の評価額を計算する
奥行価格補正率が判定できれば、次の算式で土地の評価額を計算します。 土地の評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 面積 例1(続き):図表1の土地A、Bについて、奥行価格補正率を使用して評価額を計算します。 土地Aの評価額:路線価20万円×奥行価格補正率1.00×面積100㎡=2,000万円 土地Bの評価額:路線価20万円×奥行価格補正率0.99×面積100㎡=1,980万円※ ※...土地Bの評価では、さらに間口狭小補正率と奥行長大補正率をかける必要がありますが、ここでは省略します。 路線価と面積が同じであっても、土地の形状によって評価額に差が出ることがわかります。 正確な評価は専門家に依頼を ここまで伝えてきた例は、長方形や正方形で道路に垂直に接している土地の場合でした。このように区画が整理されている土地であれば、簡単に評価額を計算することができます。 しかし、区画が整理された土地はむしろ少なく、簡単に評価できない土地のほうが多いのが実情です。 次からは実務でよく見る土地の例を挙げますが、このような土地の奥行の計測は難しいうえ、評価額の算定を間違えると相続税に過不足が生じます。土地の正確な測定や奥行価格補正率を使った土地の評価は、相応の専門知識が必要になりますのでご自身でやる場合には、税務調査になるリスクを踏まえる必要があります。 一番無難なのは専門家に依頼することですが、どうしても自身で申告書の作成をする場合は、最後まで仕上げ、できあがった段階で専門家にレビューを頼むのも一つの手としてあげられます。
奥行距離の具体的な求め方
ここでは、土地の奥行距離の具体的な求め方を紹介します。 長方形や正方形の土地を例に紹介してきましたが、一般的に長方形や正方形に区画された土地は少なく、不整形な土地がほとんどです。不整形な土地ではどのようにして奥行距離を求めるのでしょうか。この疑問に、いくつか具体例をあげていきます。 土地の間口と奥行を知るには 不整形地は奥行の長さが一様でないため、土地の面積を間口距離(土地が道路に接している部分の長さ)で割った、平均的な奥行距離を使うことがあります。したがって、奥行距離だけが分かればよいのではなく、間口距離も必要になります。土地の間口と奥行を知るには、現地にいって調査する方法と公的な図面から調べる方法があり、オススメは公的な図面から調べる方法です。 ■公的な図面から調べる方法 登記されている土地であれば、土地の位置や形状を明らかにするために、地図など公的な図面が備え付けられています。これらの図面から間口や奥行の距離を調べることもできます。図面には次のようなものがあり、いずれも法務局に申請すれば取り寄せることができます。インターネット上で申請することもできます。 ・地図 ・公図(地図に準ずる図面) ・地積測量図 最も精度が高いのは地図ですが、整備が進んでいない地域が数多くあります。地図がない場合は公図を参考にしますが、公図は地図に比べると精度が落ちます。地積測量図は、面積の計算方法や境界標の位置などが記載されていますが、すべての土地にあるとは限りません。ただ、地図がない場合には公図よりも地積測量図のほうが精度が高いことが多いので地積測量図を使用するようにしましょう。 ■実際に測る 現地でメジャーやレーザー測定器を使って計測します。境界標などで土地の境界が確認できることが前提の調査方法です。素人が土地を正確に実測することは難しく、あまり現実的な方法ではありません。マンションの敷地や広大地であれば、測定するだけでも大変な作業になります。また専用の機械(6万円以上)を購入しなければならないことも大きな負担となります。