上司は「偉い」のではない…地域を統括するトップ営業マンが教える「すべての仕事に共通する」考え方
地方のFラン大学卒で0から営業を始めた著者は、いかにして「日本一の営業」へと大変貌を遂げたのか? 「毎日が凄く辛い」「外回りをしている自分が情けない」...消極的に取り組み始めた営業の仕事が天職になるまでには、どんな心境の変化があったのか? 人と人との関わり合いである営業で得た「学び」には、どんなビジネスにも活かせるヒントが満載。仕事への向き合い方や他者の心の動かし方に迷うビジネスマン必読の話題作『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(山岡彰彦著)から、内容を抜粋して紹介する。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』連載第5回 『取引先が営業に本当に求めているものとは…「安くていい条件」よりもっと大事な「仕事の」真理』より続く
“現場”の管理職
どこの会社でも組織階層というものがありますが、他と同じく私たちの営業所でも営業所長がトップです。さらに私たちの会社には地区統轄部という上位組織があり、そこには営業所を束ねる統轄部長がいます。 この役職になるとあまり営業所で顔を見ることはありません。しかし、小林統轄部長は少しばかり他の管理職と違っていました。頻繁に営業所にやってくるのです。それどころか私たちと同じ制服に着替えて、セールスマンと一緒にトラックに乗り込み、製品を運び、取引先の倉庫を掃除するのです。
現場現役だからこそ見えてくるもの
ある時、私が得意先に向かう途中、酒屋の軒先で「なんだか歳をとったセールスマンが自販機を磨いているなぁ」と思いながら、走るクルマからその姿をよく見てみると、小林部長だったのでびっくりしたことがありました。ときどき、自分のクルマでも街中を走って、お店の中にまで入っていき、売り場の様子を見ながら売り場の担当者とも話をします。それだけに現場のことをじつによく知っているのです。 この姿勢は営業所で働く人たちに対しても変わりません。事務のスタッフ、清掃をしている方など、誰彼となく話しかけます。時には若いセールスマンが半ば感情的になりながら仕事の不満をぶつけてもうなずきながら話を聞いています。現場の声がしっかりと届いているのです。このため、小林部長の指摘やアドバイスはじつに明快で、仕事に対するアドバイスもポイントを外すことはありません。