上司は「偉い」のではない…地域を統括するトップ営業マンが教える「すべての仕事に共通する」考え方
立場を問わず、社員に求められる資質
一方で営業所の中にはいろいろな人がいます。ある先輩は「俺の言うことが聞けないのか」といった高圧的な態度です。時には周りの意見を無視して自分の都合をゴリ押ししてきます。こういった人に対して積極的に何かをしてあげようという姿勢の人は皆無です。このため大切な情報は入ってこず、時には必要なものであっても滞りがちになってしまいます。 こうしたことは役職の高い低いだけでなく、先輩と後輩や年長者と年少者の間でも同じように起こります。どこの会社でも組織で仕事が進められているので構造的には変わりません。小林部長とこの先輩の大きな違いとして、役職と役割に対する理解と行動の違いがあります。
“現場”管理職の部長にかけられた言葉
今日は小林部長と同乗の日です。今日はクルマの中でも緊張し続けることになりそうです。移動中のクルマの中で部長が話しかけてきます。 「わしは部長でも偉いとは思っとらんのじゃ。会社の中の役割として振られているだけで人の能力の優劣を決めるものではない。よくデスクに一日中座って偉そうにしている人がいるが、それでは本当の仕事はできん。実際に現場に行ってこそ何をすればいいかがわかる。現場で起こっていることと、そこにおる人が何を考えているのかを知ることが重要じゃ。なぜなら、そこがわし等の商品を買っていただくための原点じゃからな」 さらにいまでもよく覚えている言葉が続きました。
上司は「偉い」のではなく役割が「違う」
「会社では上の役職になると自分がちょっとばかり偉くなったように思えてくる。じゃが、それは違う。上司は「偉い」のではなく役割が「違う」というだけじゃ。職位の高さは「偉さ」ではなく、役割の「違い」だけだということを会社の中で働く者は知っておかんといかんぞ」 私のレベルには合わないお話でしたが、この言葉は現在でも、仕事に対する私の考え方となっています。どのような仕事に就いても「自分の役割」を起点に考えることで、さまざまな人と何かを進める際に考え方で衝突することはあっても、上位者だからという意識で臨むことはなくなります。それだけで周りの人の力が仕事を前に進めてくれることもあります。 小林部長は定年と同時に地元の酒造会社の営業部門に迎え入れられました。その会社は現役時代の部長のことをよく知っており、早く来て欲しいと願っていたそうです。 人が本当に評価してくれるのは職位ではなく、それにふさわしい行動をしているかどうかです。業界が変わっても仕事で大切なものは同じなのだと改めて思います。営業現場ではじつに多くのことを学ぶことができます。
山岡 彰彦(株式会社アクセルレイト21 代表取締役社長)