総選挙から一夜明け谷口真由美「女性議員が増えて変わることがある」
これをクリティカル・マスと言います。30%を超えて初めて「数の少ない方がその場にいる」という気持ちになる、35%を超えた頃にようやく意見が通り出す、ということが起きるんです。 たとえば、友達10人が集まったとき「1人が焼肉行きたい、9人が寿司に行きたい」となった場合、寿司に行くんですよ。「2人が焼肉で8人が寿司」だとどっちに行きますか? 寿司に行くんですよ。でも「3人が焼肉、7人が寿司」ぐらいになったところで「焼肉行きたい人いてんねんな」という気持ちになるんです。 そして「4人が焼肉、6人が寿司」になると「どうする?」ってなるんですよ。5対5になったらイーブンなんで、「本当にどうする?」っていうことになるんですね。皆さんの感覚そのもので言っても3割から4割のところで変化するんですよ。 だから女性が女性のことをちゃんと政策として言えるようになるのは、実のところ30%から35%超えないと無理で、それまではアリバイなんですよ。数の多い方に迎合しないと生き延びられない。だから今の女性議員は生き延びるために、自分が本当に思っているかどうかは別として、男性のやり方に合わせないとやっていけないっていう状況があるんですね。 ■女性候補者の4人に1人が選挙期間中にセクハラ被害 そういう状況が何をもたらすかっていうと、いわゆる票ハラスメント(票ハラ)というのが出てくる構造になるんですね。男性議員ももちろんハラスメントを受けている方が沢山いると思います。 候補者になったから分かるんですけれども、路上でものすごい扱いを受けます。「こんなにひどいこと言われんのか」っていう体験をするんですけど、女性の場合はそれがセクハラに繋がるんです。 内閣府が2021年に行った調査では、女性候補者の4人に1人が「選挙期間中にセクハラを受けた」と回答しているんです。 どんな内容かというと「毎日のように様々な男性から抱きつかれて尻を触られた」「握手の数が票に繋がると言われるので、握手をしたら色々触られてくる」「街頭で差し出したビラを受け取らず舌で舐めた男性がいた」という身体的接触があったり、「付き合っている人はいるのか」「結婚はまだか?子供はいるの?」「若いんだから選挙に出るより子供を産む方が社会貢献になるよ、あんたが立候補するより」と言われたり…。そういう酷いことがあるんですね。