島田珠代「些細なことで娘と大ゲンカ。作り置きした食事を食べなくなった。〈ママの役目も終わりなのね〉テーブルに置いたメモに、娘からの返事は」
その日から、娘は私が作り置きした食事を食べなくなりました。ロケから帰って、冷蔵庫を開けると、手つかずのおかずが残っていて、「あぁ、またあの冷たくて苦しい時間を過ごすことになるのか」と思いました。 娘が私の食事を食べなくなって3日目。このまま作っていても誰も幸せにならないと思ったので、テーブルにメモ書きを残すことにしました。 「今日も手を付けないならお金を置いていくから、それで自分が食べたいものを買ってください。もうママの役目も終わりなのね……」 重い感じに伝わらないように私の似顔絵を描き、吹き出しの中にこんなことを書きました。仕事が終わり家に帰ると、私が作った食事は用意した状態のまま置いてありました。 正直、ショックでした。机の上に置いていったメモ書きを捨てようと手に取ると、なにやら書き加えてあります。そこには、かわいいイラストと、吹き出しの中にメッセージが。 「ここ2日間はうどんを食べたかったらしくて、自分でつくって食べてたみたいよ?」 そのメモを見た瞬間に、私は娘の部屋へ行き謝りながら大号泣。娘に引かれるほど泣いてしまったけど、その後きちんと仲直りすることができました。前回は2ヵ月口をきいてくれなかった。でも、今回は4日で持ち直せた。私たちの関係はよりよい関係になっていると思います。
◆娘の推し 私が芸人をしているので、娘が学校でいじめられないかというのは、長年心配していました。娘には、もしいじめられたら引っ越してもいいと思っていること、とにかくなんでも話すことなどは伝えてきたつもりです。 それでもやっぱり心配な私は、あるとき酒井藍ちゃんにこの悩みを話したことがあります。すると藍ちゃんは男気あふれる様子で一言。 「もし娘さんがいじめられたら、すぐに呼んでください。いじめたヤツのところに怒鳴り込みに行ったりますから」 娘と藍ちゃんは面識もあり、一緒にご飯を食べることもあるのですが、会うたびに「なんでも言いや? なんでもいいから! なっ?」と娘に声をかけてくれます。 藍ちゃん自身が三きょうだいの一番上ということもあってか、すごく面倒見がよくて、娘も気を許しているようです。傍から見ていると、まるで姉妹のよう。もしかしたら、娘にとってもそのくらい近い存在なのかもしれません。 自分を守ってくれる存在がいると知ってから、娘は藍ちゃんのことを《推し》として見るようになったらしく、藍ちゃんがニカッと笑っている写真を机のうえに飾っていて、「私はこの写真を見ているだけで心が豊かになるの」と話していました。 いつもの私だったら、娘のそんな姿を見て「じゃあママはいなくていいね」と卑屈になってしまいそうなのですが、なぜかそんな気持ちにはならないのです。 私の子どもを愛しているのは、私だけじゃない。 それが、どんなに心強いか。一見、娘に寄り添っているような藍ちゃんの言動が、私にも寄り添ってくれているのを感じる。それが卑屈にならない理由なのかもしれません。
島田珠代
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