ホンダと日産、経営統合へ協議開始 「資本の論理」で主導権はホンダ ブランドは継続
ホンダと日産自動車は12月23日、共同株式移転による持株会社を設立する経営統合に向けて検討することで基本合意したと発表した。持株会社が親会社となり、ホンダと日産がそれぞれ事業子会社となる予定で、ホンダ、アキュラ、日産、インフィニティの各ブランドは存続させる。 持株会社の取締役、社外取締役はそれぞれの過半数をホンダが指名し、社長もホンダ側が指名する。発足当初は時価総額の高いホンダが「資本の論理」から主導権を握るが、その後は「会社が発展するにつれてホンダがずっと主導権を握っているわけではない。最適な人事にしていく」(ホンダ・三部敏宏社長)方針だ。 持株会社の社名、役員構成、本社などは今後設置する「統合準備委員会」で協議・検討するとともに、今後実施するデューデリジェンス(資産査定)の結果を踏まえて最終決定する予定。 両社は2025年1月末までに経営統合の可能性と、日産が出資する三菱自動車が参画する可能性について一定の方向性を示す。ホンダが日産との経営統合を受け入れるのは、日産が9000人の人員削減や生産能力の2割削減し、26年までに年間販売350万台で収益を確保できる体制の構築に目途をつけることが条件になる。このため、日産のリストラの状況によっては経営統合が白紙になる可能性もある。 株式移転計画を含む最終契約は、25年6月の締結を目指す。その後、26年4月に両社それぞれが開く臨時株主総会で経営統合を承認し、7月末から8月にかけてホンダ、日産は上場廃止となる。持株会社は26年8月に上場を予定する。 ホンダはゼネラル・モーターズ(GM)、日産はルノーなど、それぞれの提携事業は継続する方針。ただ、ルノーと日産は株式を互いに15%づつ出資しているほか、これとは別にルノーは日産の株式を信託会社に預けている。これらについては「シナジーの価値を見据えた上で、パートナーと協議する」(日産・内田誠社長)方針だ。 一方、鴻海精密工業が日産の買収を検討しているとの報道に関しては「そうしたアプローチの事実はない」(内田社長)と否定。三部社長も「そういう動きはつかんでいない」と述べた。ただ、鴻海からの買収の提案があった場合の対応を問われた内田社長は「友好的な提案があれば真摯に対応する」と述べた。