【解説】シリア・アサド政権の崩壊によって懸念される新たなテロリスク…「イスラム国」の再生や反中国ジハード
中国に強い敵意持つトルキスタン・イスラム党
さらに、今回のアサド政権崩壊に至っては、シリア解放機構と協力関係にあるトルキスタン・イスラム党も共に戦った。 トルキスタン・イスラム党の同胞はアフガニスタンにも存在するが、この組織は新疆ウイグル自治区の中国からの解放を目標に武装闘争を継続しており、中国政府に対する強い敵意を持つ。 アサド政権の崩壊後には、トルキスタン・イスラム党の戦闘員たちがシリアで訓練や実戦にあたる動画やメッセージを発信し、中国へのジハードを強調した。仮に、習近平指導部がジャウラニに接近することがあっても、タリバンに求めるようにトルキスタン・イスラム党への圧力を求めることは想像に難くない。 以上のように、シリアがアサド政権の圧政から解放されたことは歓迎するべきことで、国際社会はジャウラニ排除の姿勢を取るべきではない。しかし、国際テロ情勢の観点からは以上のような懸念があると言えよう。 【執筆:株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO 和田大樹】
和田大樹
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