「和倉のもてなし」アバターで 旅館従業員の雇用維持 万博案内も想定
能登半島地震で被災した七尾市和倉温泉で16日、旅館従業員らを対象に、画面に映し出されたアバター(分身)を使って離れた場所から接客する「リモート接客」の体験会が開かれた。地元を離れられない従業員が、七尾にいながら全国の施設で「和倉のおもてなし」を提供できる。本格的営業再開に時間がかかる旅館が多い中、従業員の雇用維持につながり、大阪・関西万博の案内業務での活用も想定されている。 人材サービス大手「パソナグループ」と和倉温泉旅館協同組合が企画した。「アバターワーク」と銘打ったサービスで、ホテルフロントやコンビニでの接客、企業の受付などに利用されている。全国で100カ所以上の導入実績があり、今の旅館に籍を置いたまま、別の企業と雇用契約を結んで働く「在籍型出向」にも対応する。 和倉温泉お祭り会館で開かれた体験会には、7施設の9人が参加した。パソコンの前で手を振ったり、上げたりして、画面内のアバターが同じ動きをする様子を確かめた。 和倉温泉では組合加盟21施設のうち9施設が休業中。宮西直樹事務局長は「物理的、心理的な制約を払拭(ふっしょく)でき、スキルアップにもつながる。在籍型出向が広がる一助になってほしい」と期待した。