負債64億円超、金沢のADI.G民事再生 不適切会計 歯科医療用器械卸事業、雇用は継続
歯科医療用器械など卸を手掛けるADI.G(金沢市浅野本町1丁目、浅野弘治代表)は17日、東京地裁に民事再生法手続き開始を申し立て、受理されたと発表した。同社はコロナ禍で売り上げが伸び悩み、さらに不適切な会計処理を取引金融機関に開示。金融機関から支援の同意を得られず、自力再建を断念したとみられる。負債額は64億円超の見込み。同地裁の監督の下、事業と雇用を継続しながらスポンサー企業を探すとしている。 負債額は帝国データバンク金沢支店が民事再生法適用申請時点で約64億円、東京商工リサーチ金沢支店は2023年5月期決算時点で約65億2354万円と見込む。帝国データバンクによると、今後さらに膨らむ可能性がある。石川県内の企業では23年に倒産したアペックス(金沢市)に次ぎ、過去10年で2番目に多い負債総額となる。申し立ては16日付。 両支店などによると、ADI.Gは1957(昭和32)年、浅野歯科商店として創業し、74年に法人改組した。医療器具を中心に、近年はデジタル化事業にも進出。2019年5月期に売上高約65億400万円を計上したが、コロナ禍で業績が落ち込んでいた。 同社は11月末から取引金融機関に決算報告書の不適切な会計処理を開示し、コンプライアンス強化の改革を進めようとしていたという。代理人弁護士は北國新聞社の取材に「不適切会計の有無を含めて調査中であり、回答を差し控える」と話した。 20日に都内で、23日に金沢市堀川新町の井門金沢ビルで債権者説明会を開く。