イスラエル、ゴラン高原攻撃への報復検討-全面戦争回避に各国動く
(ブルームバーグ): イスラエルが占領するゴラン高原にロケット弾による攻撃があり、同国とレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの争いが全面戦争に発展する恐れが浮上、米国をはじめ世界の大国はこうした展開を防ごうと取り組んでいる。
ネタニヤフ首相は28日遅く、この攻撃に対してどのような報復をいつ仕掛けるか決定するため、数時間にわたって安全保障当局者と会談。ロケット弾はサッカー場を襲い、子供を含む12人が死亡した。
イスラエルは強力に対応する方針を示しているが、28日夜から29日朝にかけてレバノンに大規模な攻撃を行うことはなく、ネタニヤフ氏がパレスチナ自治区ガザを巡るイスラム組織ハマスとの停戦合意進展を望んでいる兆しが見られている。
イスラエルの一部メディアは、メッセージは送るものの収拾不能な事態は回避する「限定的だが有意な」行動を模索していると報道。今のところイスラエル軍は予備役の追加招集や、北部の警戒レベル引き上げを決定してはいない。
ネタニヤフ氏は28日、対外特務機関モサドの長官をローマに派遣し、カタールや米国など仲介国と協議させた。「主な問題に関する交渉は、今後数日間続く」と同氏は述べた。
29日の外国為替市場でイスラエル・シェケルは売られ、テルアビブ時間午後1時半時点ではドルに対して2%余り下落して1ドル=3.74シェケル。イスラエル株の代表的な指標であるテルアビブ35種指数は28日に2.3%下落し、昨年10年以降で最大の下げ。ただ、29日は下げの一部を埋めている。
航空会社の一部は、レバノンの主要国際空港であるベイルート行きの運航を取りやめた。ルフトハンザ・ドイツ航空と傘下に抱えるスイス航空、ユーロウイングスはいずれも、8月6日までベイルート便の運航を中止。ギリシャのエーゲ航空も一部欠航とした。
ドイツは自国民に対し、レバノンからの早急な国外退去を呼びかけている。
原題:Israel Weighs Its Response to Golan Attack as US Urges Calm (1)(抜粋)
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Dan Williams, Paul Wallace, Ethan Bronner